Eco Life Guide インタビュー ~考えてみよう!私たちのお金と社会のカンケイ~ 第2回 さわかみ投信株式会社 後編

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エコ貯金プロジェクトの個別インタビューの第2回目は、さわかみ投信株式会社です!前編では、「投資ってなんだろう?」という疑問から、現在話題のNISAやiDeCoなどについてお話を伺いました。後編は、会社のこと、生き方や今後の金融のあり方などについて伺いました!

さわかみ投信の社員の働き方は??

ASJ:アナリストの仕事の現場は、大きなパソコンのスクリーンと一日何時間もにらみ合ってハードワークのイメージがあるが、実際はどうなんでしょうか。

澤上さん:アナリストの場合、モニターを見ているというよりは頭の中を常にフル回転させていますね。将来どうなるか、そこに対して何が必要か、社会課題を誰が解決するのか、売り上げがいくらぐらいになるのかといったことを考えています。

加えて、企業の経営者、従業員やその取引先、製品など作っている現場、量販店を見に行くといったフィールドワークを行っています。従業員の話を聞くのは面白いですね。企業の経営者と従業員の方向性が一致している企業は、強いと思います。

ASJ:アナリストはどのように企業の将来性を予測するのですか?

澤上さん:個々人でそれぞれアプローチ方法が違うのですが・・・たとえば私の場合、自動車なら、今後どういう自動車が売れるのか、世界でどれだけの人が自動車に乗っているのか、燃料はガソリンが続くのか、などといった大きな視点で考え、そこからトヨタ、ホンダといった個々の企業について考えていきます。

また自動車は、素材となる鉄鋼やオイルも深く関係するので、それぞれの専門のアナリストが意見を持ち寄って、いろいろな視点での考えをぶつけ合っています。

大事なことは、消費者の視点で考えることです。自分が20年後この商品を使っているか、どんな商品・サービスが欲しいかといった視点がないと、ただの証券分析になってしまって価値がありません。もし自分がその商品やサービスを利用していないなら、なぜしていないのか、その理由が明確であれば、いくら数値が良くても投資の対象にはなり得ません。なぜならば自分が消費者としてその商品を信頼していないからです。

逆に、アフリカであるモノ開発をしている企業があり、アフリカにいたら利用するという想像ができれば、実際に現地まで見に行ったりもします。そのような意味ではハードワークですね。

ASJ:自分もコンサルタントをしているので、将来予測をする必要があり、上司から「電車に乗るときは音楽を聴かずに、周りを見ろ」とアドバイスされている。本やアプリはどんなものが人気なのか等、消費者目線で考えることが大事であるという事が分かりました。

澤上さん:コンサルティングと投資は、似ているけれども違う点があります。投資は、色々調べても見えない将来についてリスクをとることです。つまり、同じ消費者目線ではあるけれど、コンサルティングが観察であるのに対し、投資は自分の考えに確信があればよく、将来を想像するということです。

ASJ:会社内についてですが、新卒・若手にどのような教育をされているのですか?

澤上さん:技法やスキルではなく、何のために仕事をするのか、どのような考えに基づいているのかを伝え、新卒から既存の社員に対して当社の社史を発表してもらったりしています。自分たちが何のためにこの会社に来たのか、そこを見失ってしまうと、お客さまである投資家の信頼を得るような説明ができないからです。

また、すべての社員がセミナー講師等でお客さまと直接接する機会を持ちます。どのような思いを持つお客さまがお金を預けてくれているのかが分かるし、お客さまもどのような社員が働いているのかを知ることができます。セミナーに不慣れな社員が失敗することもあり、お客さまから怒られることもありますが。投資信託をつくっているのは人であって、その人を見てもらうことも重要だと考えています。

自分を裏切らない、やりたいことをやっていこう

ASJ:やりたいことと、やらなければいけないこととの間でジレンマに陥るようなことはありませんか。例えば営業目標で売らなければいけないものがあるが、自分が消費者だったらこれは買わないのにと、歯がゆい経験をしたことがあります。

澤上さん:新しい挑戦がしにくいと思うことはあります。当社には創業20年の歴史があります。しかし新しい挑戦にはリスクが伴い、過去の20年で築いてきた「信頼」を失う可能性があるからです。ネットを使ったテレビ・映画の製作、クラウドファンディング、カフェの設立等、新しいことをやろうとするたびに社員からは「それってイメージ悪化しませんか」と言われましたね(笑)。

新しいことをやって、新しい価値が生み出せれば、3年後5年後にはみんな納得してくれると思いますが、残念ながらその時はそれを証明することができません。ですが、新しいことにチャレンジしないと独自性が失われるし、新しいことの効果はやってみないとわからないもので、失敗したらそれでもいいからどんどん挑戦してみるべきだと私は考えています。もちろん、自分の取れるリスクがどれくらいかをきちんと把握し、リスクを回避するとか、リスクを最小限に抑える方法を慎重に考えています。

そもそも当社が設立された理由も、同じ考え方が根底にあります。銀行や証券会社に投資信託を卸すのが当たり前だった時代に直販モデルを開発したこと、日本で初めて積立方式の買い方を開発したことは、当時イノベーションでした。難しいですが、既存のイメージや過去というしがらみにとらわれていたら、できなかったことです。

当社は全国トップレベルでお客さまの事が好きな社員が多く集まっている自負がありますが、それでも常識にとらわれた社員も少なくないと感じています。企業が新しい未来を築こうとしているなら、我々も必要とされるサービスへと革新的に挑戦しなければなりません。

ASJ:「リスクをとる」とのことでしたが、そのリスクを取るか取らないかは、どうやって判断するのですか?

澤上さん:例えば、「将来価値が上がる」と思った企業があったら、その企業に投資したいと思いますよね。だとしても、全財産を投資することはありません。万が一想定外の事象が起きて、価値が下がってしまう可能性もゼロではないからです。もしそうなった場合に、耐えうる金額はどれくらいなのかなどをしっかり考え、取るリスクを抑えるようにするのです。

もっと分かりやすく言えば、好きな人に告白するかどうか、ですね。告白しなければ振られないが、付き合えない。しかしリスクをとって告白したら、付き合えるかもしれない。告白するにあたり、アプローチ方法等色々事前準備して、リスクを低減していくことができる、ということですね。

ASJ:大変よくわかりました。ただ、どうすれば常識にとらわれず、また頭が固くなることを防げるんでしょうか?安定すればするほど、それにしがみつきたくなりますが、チャレンジ精神はどのように保てますか?

澤上さん:残念ながら年齢と共に新しいことへの挑戦ができなくなりますよね。35歳ぐらいまでにチャレンジ精神が身につかないと、その先変わるのは難しいとよく聞きます。それまでは子供のようにいろいろ挑戦して失敗すればよいんです。

挑戦できない環境があるならば、そこを飛び出してしまえばいい。自分のやりたいことをやらない、諦めるのは、自分を裏切っている。「本当はこうしたい」と思う気持ちを大切に、自分を裏切らないでほしいです。

「自分のやりたいことを大切に!」

澤上さんが思う、金融のあり方とは

ASJ:投資を通して財産づくりと良い世の中づくり、というさわかみ投信さんの考え方は先駆的だと思っていますが、それが一般的になった場合、他社とどのように差別化したいと思っていますか?

澤上さん:本当は、それは先駆的ではなく、本来的な考え方だと思います。なので本来の姿が一般化されてもいいじゃないですか。ただ、他社と同じで安堵するだけの会社に存在価値はないと思っています。当社は、その時々で、20年先の課題を考え、哲学は変えずに変幻自在といったところが目指す姿です。

また、お金を増やした後にどのように使うか、その点もしっかり考えてほしい。

少し話はそれますが、寄付は、投資よりも難しいと思っています。なぜなら、投資は投資した後も関係が続くのに、寄付はそれっきりで終わってしまうからです。投資は、出したあとも関係が続く分、その投資が成功だったか失敗だったか、次はどう判断するかという勉強をすることにもつながります。

寄付も大事な行為であることには変わりませんが、出したら終わりではなく、寄付した先に責任をもって、その活動を見ていく必要があると思っています。お金を使うこと、出すことに責任を持つ、「かっこいいお金の使い方」をする。そういう世の中になって欲しいです。

ASJ:お金を出す責任に関連して言うと、NGO業界では、石炭火力発電や銃関連企業からのダイベストメントなどが活発になってきています。これらの動きをどのようにご覧になりますか?

澤上さん:株式投資のメリットは、株主としてその会社をプラスに促す行動ができる点です。労働問題、環境問題等を、株主として企業内部の人々にメリットデメリットを伝えることで、改善を促すことができます。改善が見込めない場合は、最終的に投資を撤退することも当然あり得ます。そもそも企業の成長は、当然ESGの観点がなければならない。本業で社会的課題の解決ができない企業は、存続しないと思います。

ASJ:最後に、金融はどうあるべきとお考えか、お聞かせください。

澤上さん:金融は、産業や世の中の影として日陰のような存在であれということですね。金融は、必要としているところにお金を回すという重要な役割を担ってきました。高度経済成長の一翼を担ったものの一つは金融です。しかし成熟した現在の日本において、お金は預貯金に滞っており、必要なところにお金が回っていないのが現状です。

ぜひ、市民の皆さんにはリスクを取って世の中にお金を回し、財産づくりと良い社会づくりをしてほしいと思っています。

遅い時間にもかかわらず、いっぱい語ってくださいました!ありがとうございました!

インタビューを終えて
気さくで情熱の溢れる澤上社長のお話から、メンバー一同、金融とは何なのか考えることができました。投資とは本来長期であること、社会課題を解決し消費者の基本的ニーズに応える企業を応援すること、投資は人の想いが前提にあるためAIでは置き換え困難であることなど伺い、金融がどう影の立役者として存在するべきか理解できたと思います。株式投資というと投機的な印象もあり、手が出しにくい人も多いはずですが、資産を形成しつつ「かっこいいお金の使い方」を実践する手段がすぐ近くにあるということだけでも知っていただけたら幸いです。この記事をご覧になって、さわかみ投信さんに興味をお持ちになった方は、ぜひウェブサイトを訪れてみてください!
【さわかみ投信 Webサイト】
https://www.sawakami.co.jp/
※当サイトに記載されている事項は、投資信託および投資一般に関する情報の提供を目的として作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いします。

2018-10-31