【参加報告書】12/23横須賀石炭火力発電所新設・稼働に関する行政訴訟  第2回期日

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2019年12月23日に2回目となる横須賀石炭火力発電所新設に関する裁判が東京地方裁判所で開廷されました。法廷定員が96名という中で、今回の裁判に128名が傍聴のためにかけつけ、超満員となりました。

【横須賀石炭火力訴訟とは?】

横須賀石炭火力訴訟は、横須賀火力発電所新1・2号機を建設および稼働する計画において、環境アセスメントの変更は必要ないとした経産大臣の通知の取り消しを求めている裁判です。同計画は株式会社JERA(東京電力、中部電力がそれぞれ50%ずつ出資)が計画しているもので、新設予定の設備容量はそれぞれ65万kWです。新1号機 2023年度稼働予定、新2号機 2024年度稼働予定とされており、この2基が稼働した場合のCO2排出量は726万トン(神奈川県の排出の10%)と想定されています。

【過去の裁判の経過】

第一回目の裁判での原告の主張は下記の3点でした。

・パリ協定を達成するためには石炭火力発電所の新設が許されない。

・簡略化された環境アセスメントの不当性

・環境アセスメントで検討された内容の不十分性

 

上記に対する、被告の答弁は、

・本件通知は、取消訴訟の対象となる処分ではないこと(処分性が無い)

・原告らには、本件通知の取り消しを求める法律上の利益がないこと(原告通知がない)

・訴えが不適格だから却下すべき

 

今回の裁判では、被告の答弁に対する原告の反論が行われました。具体的には、

・排出されるCO2によって、地球温暖化が進行して生じる被害

・搬出される大気汚染物質によって生じる生命身体健康被害

・排出される温排水によって、漁業資源が失われるなどの生業手段の喪失

との理由で、原告適格を主張しています。

 

 

【石炭火力はなぜ問題か】

石炭火力発電所は、気候変動の主要因であるCO2、大気汚染物質を最も多く排出する発電方法です。世界の平均気温は産業革命以前と比較し既に1度上昇し、昨年2019年は224名の命が犠牲となった西日本豪雨に続き、台風15号、19号が猛威を奮いました。

そして、気候変動による気温上昇に伴い熱中症による死者数も年々増加しています。平成30年7月には、1か月で1000人以上が熱中症により命を落とすという過去最多の熱中症死亡者数となりました。

 

(平成30年7月の熱中症救急搬送に関する情報についてはこちらも併せてご覧ください。https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01shoubo01_02000081.html

 

 

さらに、水産資源の減少にも大きく影響しています。海水温上昇とともに藻場植生の変化し、磯焼け(海藻が著しく減少、消失し、海藻が繁茂しなくなる現象すること)が発生しています。また、海水温上昇によってサンゴの白化現象が発生し、サンゴ礁に生息する海産物や海洋生物が失われる恐れがあり、海の生態系に大きな影響を与えています。

もし、このまま気候変動対策を怠った場合、以上のような被害はさらに拡大していき深刻化するおそれがあります。このような甚大な影響を食い止めようと、世界では脱石炭の動きが主流化してきています。しかし、そのような中、日本は未だにその潮流に逆らい、石炭火力発電所を建設・稼働しようとしています。

 

【まとめ】

2回目となる横須賀石炭火力発電所新設に関する行政訴訟においても、原告側は石炭火力発電所が稼働することでCO2はさらに増加し続けると訴えています。世界が脱石炭の方向を向く中、梶原経産大臣はCOP25の期間中、「石炭火力、化石燃料の発電所は選択肢として残しておきたい」と発言し、気候変動対策に消極的な国に授与される化石賞という不名誉な賞を受賞してしまいました。

 

石炭火力発電所が起因となり地球の平均気温はさらに上昇し、数年に一度といわれているほど大規模な台風 が頻繁に発生するようになっていきます。そして、海水温も上昇し、サンゴ礁はその温度に適応できずに白化現象を起こし、やがて死に至っていきます。同時に漁業にも影響を与え、水産資源の減少にも繋がっていきます。私たちが日ごろ食べている魚がいずれ食べられなくなってしまいます。さらには、気温の上昇は熱中症の被害を年々増加させ、私たちの健康を脅かしています。今回の訴訟をきっかけに日本が地球温暖化対策に向けて積極的に行動してほしいと感じました。

 

<ライター・ロッキー>

 

A SEED JAPANは、石炭火力を考える東京湾の会の賛同団体に加盟しています。

 

★第1回目期日の様子はこちらをご覧ください。

https://nocoal-tokyobay.net/2019/10/17/yokosuka_climate_case/

 

★第1回期日の裁判文書はこちらをご覧ください。

https://yokosukaclimatecase.jp/document/

 

★次回の第3回期日についてはこちらをご覧ください。

https://nocoal-tokyobay.net/2020/02/26/200323_yokosukaclimatecase3_news/

 

2020-03-16