【年末年始休暇のお知らせ】2017.12.25-2018.1.10

A SEED JAPANは、12月25日(月)から1月10日(水)まで事務所を閉めさせて頂きます。

ご不便をおかけしますがどうぞよろしくお願い致します。

2017-12-25 | カテゴリー:お知らせ

2017.11.6フェア・ファイナンス・セミナー

2017年11月6日に
フェア・ファイナンス・セミナー「求められる気候変動リスク開示~日本の金融機関はどう対応するべきか?~」
を開催しました。

2017年6月、世界の主要25か国の金融行政・中央銀行が参加メンバーとなっている金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が、気候変動関連の財務情報開示に関する最終報告書を発表しました。そして、世界100社以上のCEOが、歓迎の意と、最終報告書で提案されている情報開示に賛同する共同声明を発表しました。今後は、日本の金融機関も気候変動に関連するリスク情報の適切な開示が求められています。
TCFDをどのように日本で進めていくかの議論を深めたい。特に、石炭火力発電所のリスクについて踏み込んでいきたいという考えのもと、三人の登壇者をお呼びして、お話を聞きました。

以下、登壇内容をまとめたものになります。

1.気候変動リスク開示に関する国際動向と日本の金融機関の課題
長村政明氏(東京海上ホールディングス事業戦略部部長兼CSR室長/元TCFDメンバー)

金融安定理事会(FSB)は、金融市場の安定化を目指して気候関連財務ディスクロージャー(TCFD)を発足させた。投資家が、適切な投資判断ができる環境を作っていくために、効率的なディスクロージャーを促す任意的な提言を策定することを目指す。
環境問題が財務的な情報で示されていないと、投資家からは相手にされない。そこで、ガバナンス・戦略・リスク管理・指数と目標というカテゴリーで分け、提言とした。「シナリオ」という概念を導入し、「仮説」になぞらえて業績予想を立てるという概念は新しい。
既存の情報開示枠組みとの整合強化や、シナリオ分析等課題はまだ沢山あるが、今後の展開に注目していきたい。

2.銀行における気候リスクの統合に向けた課題
千葉洋平氏(地球環境戦略研究機関研究員)

銀行は、気候リスクが主要保有資産に与える財務影響の評価を通じて、潜在的な損失を最小限に抑えることが重要になってくる。当団体は、銀行のリスクマネジメント・財務会計において、気候関連リスクの統合強化を目指す。
銀行の従来のリスク(信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスク)に加え、気候変動リスクが加わる。気候変動リスクとは、移行リスク、物理的リスクに分かれる。前者は、低炭素経済への移行に関連し、後者は、温暖化の結果として気候災害被害の増加に関連する。融資先企業が気候関連リスクに晒されることにより、間接的な気候リスク影響を受け、信用リスクが高まり、貸出金の資産価値低下へとつながる可能性がある。貸倒引当金(お金が返済されない場合に、補てんにあてる費用)の考え方に倣い、「将来見通しに関する情報」として気候リスクを組み入れ、活用していくことが考えられる。
今後は、気候リスク評価のための人材育成、専門能力向上が必要。気候災害に関するストレスチェックツールの作成を検討したい。

3.日本における石炭火力新増設のビジネスリスク
大野輝之氏(自然エネルギー財団常務理事)

日本の石炭火力は高効率だといわれるが、ガスと比較すると大気汚染やCO2の面では良いとは言えないし、ビジネス面でも問題があることを主張したい。
なぜ日本で石炭火力が増設されるのか?東日本大震災により、原発に代わる電源としての需要が発生するという見通しを持ったのがひとつ。また、震災後、電力需要が増すと想定したが、省エネ化が進み電力量は減っている。
このまま増設すると、需要が減らないという想定でも、石炭火力発電所の設備利用率は低下していくと予想する。これが、石炭火力発電所がビジネスとして成り立つと考えられるだろうか。
これから日本の電力会社が市場での競争を勝ち抜いていくには、新たな戦略の実行に踏み出す必要がある。対応できない電力会社は、エネルギーのパラダイムシフトに飲み込まれてしまう可能性が高い。

Q.日本でTCFDが定着しない理由
A.長村さん)開示に対して日本は保守的。当局に求められたものだけを開示する。欧米は開示に対して積極的、それ自体が企業の戦略として考えられているからです。
日本で進まないのは投資家からのアプローチが足りません。これからは投資家からの圧力が大きくなると思います。真剣に考えている企業はそれなりにいます。日本企業は有言実行の責任感が強く、一度決めたらきっちり実行します。しかし、欧米はとりあえず宣言してから考えます。まずは年間報告の中から取り組んでほしいと思います。

Q.企業の中で、パリ協定を踏まえて情報開示に取り組んでいる事例はあるのか。
A.(長村さん)パリ協定で自国の削減目標26%減を、各業界と対話したうえで決めたことに意義があります。まずは自社で目標達成の為に何ができるかを発表するのも立派な開示です。

Q. annual reportで環境リスクを開示している企業は、欧米と比べてまだ少数。エネルギー系の会社だけ。温度差あるのでは?
A.企業的には、載せるのはかなりのハードルであるのは事実です。マイニングやオイルの業界では、結構気候変動リスクを開示してきています。非エネルギーセクターではまだまだ努力を要します。このリスクは定量化するのが難しいから後回しになってしまいます。TCFDの中では、自社のマテリアルに関係なくても開示していくように求めています。

2017-12-19 | カテゴリー:お知らせ