2 預けられたお金はまずどこに流れるか?
次に、預けられたお金を、金融機関はどのように運用しているかを見てみましょう。ここでは代表選手として、
多くの人とって身近な金融機関である都市銀行、地方銀行、郵便貯金の運用状況について見てみます。
それぞれの金融機関について、預金に対する貸出金、有価証券(国債、地方債、社債・株式、外国証券)の
比率を見たものが以下の図です。
図 金融機関別の資産/預金残高の比較
注1)2004年11月末残高(ただし「その他」に含まれる農業協同組合は2004年10月末時点、漁業協同組合は2004年
9月末時点)。
注2)金融機関は預金以外にも社債等で資金調達をして資産を購入するため、資産/預金残高の合計は100%にはならない。
資料:金融経済統計(財務省)
まず都市銀行についてみると、預金のうち約76%は企業へ融資されますが、約26%は国債の購入に当てられています。
つまり、都市銀行に1万円預けると、3/4にあたる7,500円は企業に貸し出されるのですが、残りの2,500円のほとんどは
知らず知らずのうちに国へ貸していることになるのです。
地方銀行だと預金に対する国債の比率は少し低く12%ですが、郵便貯金はなんとその45%が国債として運用されています。
次のグラフは、国内銀行(都市銀行と地方銀行の合計)の「預金−貸出金」の差額と、国債の保有額との推移をみたものです。
このグラフからわかるように、「預金−貸出金」の差額と国債保有額はほぼ同じ形で推移しており、貸し出されなかったお金は、
そのほとんどが国債の購入に当てられていることがわかります。
図 預金−貸出金の差額と国債の保有残高の推移
資料:金融経済統計(財務省)
ではなぜ銀行は国債を買うのでしょうか? それには3つの理由があると言われています。
銀行が国債を買う理由
1)企業は不況でお金を借りてくれない。にもかかわらず家計の金融資産は膨大で、その多くが銀行に流れ、お金が余っている。
2)外貨投資も考えられるが、過去の円高経験もあって為替リスクが恐くて踏み切れない。
3)企業融資、外債投資はBIS規制(注)では資産とされ、自己資本比率を下げるが、国債は資産に評価されない。
つまり資金の国債運用は、8%の自己資本比率クリアと資金運用を両立させる数少ない方法だ。
資料:「金融のすべてがたのしくわかる!」(大和総研太田登茂久編著、かんき出版)
すなわち、BIS規制と金余りという現状をうまく解決してくれるのが国債であり、
そのために貸し出せなかったお金は国債に、、、という非常に消極的な運用がなされているのです。
また、郵便貯金は、2001年4月までは、全額が旧大蔵省の資金運用部に預託され、その一部が財政投融資として運用されていました。
財政投融資は、財務省が公庫・公団などの特殊法人や地方公共団体に貸し付ける制度ですが、その一部は国債引受に使われ、
国の一般会計に組み入れられることにより、政府の「第二の財布」として利用されていました。2001年4月以降はシステムが変わり、
財政投融資資金として、郵政公社自身が資金を独自運用するようになりましたが、現在でも2000年までの流れが色濃く残り、
国債としての運用額が非常に大きくなっています。
みなさんもご存知のとおり国の国債発行残高は700兆円を超えており、財政の先行きは大きな不安を抱えています。
ですから、銀行や郵便貯金が大量の国債を保有していることはそれ自体が健全とは言えません。
また、国債の金利が1%上昇すると、銀行の保有している国債で1兆7,000億円という莫大な損失がでると言われており、
いま経済が非常に大きなリスクを抱えているといえます。
しかし、預金が国債に使われるということは、もっと深刻な別の問題も引き起こしているのです。
国債に流れたお金が戦争に!
エコ貯金について考えるTOPへ
|