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フェアトレードで起業する!
 
「就職」というと「職場を選ぶこと」を想定しがちだが、「自分で仕事を作る」という選択肢もある。今回は大学卒業後にフェアトレードで起業した、藤岡亜美さんにお話を伺った。

【藤岡亜美さん】
有限会社「スロー・ウォーター・カフェ」代表。大学時代のエクアドルでのフィールドワーク経験を活かし、卒業後にフェアトレード事業を立ち上げた。辻信一著『ピースローソク』(2003年,ゆっくり堂)に対談が掲載されている。

スロー・ウォーター・カフェ http://www.slowwatercafe.com/


 
 
 

■亜美さんのお仕事

「社会的起業家」であり「青年起業家」。亜美さんはこうした言葉の持つ固いイメージからはかけ離れた女性だった。多忙な毎日を過ごしているはずなのに、彼女の周りにはなぜかゆったりした空気が流れている。にっこり微笑みながら、楽しそうにお話してくれた。

彼女の仕事は、エクアドルとのフェアトレードだ。会社を運営する仲間3人、それに現地の人たちと、企画から販売まで一緒に考えながら事業を創っている。現在は通 信販売が主だが、11月には都内にカフェを開店する予定だ。

■エクアドルでの出会い

今の仕事についたきっかけは、大学3年生のときのエクアドル訪問だという。訪れたのは、人口300人ほどの小さな村。村は、日本のODAによる鉱山開発で、皮膚病などの被害を被っていた。

「ここで起こっていることは、私たちのライフスタイルの裏側なんだと思いました。私たちが使っている鉱物資源によって、実際にこの村のこの子が、こんな被害に遭っている、ということがわかってショックでした。それから自然とくらしが本当に密着しているということも…。こんな豊かな村に『開発』を強いる日本というのは何なんだろう、と思いました」

■持続可能なくらし

村の人たちは被害に対して、会議を開いて鉱山開発反対を決議し、鉱山開発による「発展」よりも、鉱山開発の無い持続可能な暮らしを選んだという。

そんな村の人達の生き方は、亜美さんに大きな影響を与えたようだ。ある青年は「森を切らずに守りながら持続可能な農業をしよう」と”agroforestry”を実践している。村では経済的な理由から森林の伐採を余儀なくされる人も存在するが、「『彼らに伐採を止めさせるのではなく、森を守りながら農業をしても経済的に成り立つということを実際に示せば、彼らもそういう道を選ぶようになるのではないか』。そういうことを、彼は寝転がりながら、すごく自然に言うんですよね。草の上に寝転んだりしながら。それを見て、私もこういう生き方がしたい、と思ったんです。自分も気持ちよく楽しみながら、持続可能な暮らしを創っていくことはできないか、そう思ったんですね」

■起業までの道のり

2002年4月、ETIC主催の「Style 2002」という青年起業支援のコンペティションに応募し「優秀賞」と「感動賞」とを受賞。

「スキルがなかった代わりに『どうしたら伝わるのか』についてよく考えました。音楽をかけて、おいしいコーヒーを煎れて、手書きのレジュメを配って、それでプレゼンをしたら、審査員の一人が泣いてしまったんです。ビジネスの人にも伝わるかもしれない、と思いました。それからはNGOだけでなく人脈が広がりました」

2003年3月には、今度は東京都主催の学生起業家のコンペがあり、そこで学生起業家賞を受賞。賞金を元手に有限会社を設立し、現在はカフェオープンにむけて多忙な日々を送っている。

「就職を考えたとき、今まで考えてきたことの延長線上で働きたいな、と思ったんです。そしたら、もうやりたいことあるじゃん、と思ったんです。この麻の雑貨も、日本で売るという約束を村の人たちとしていたので、就職しちゃったらその約束が果 たせなくなる、少しづつでいいから、自分で仕事を作ろう、と思ったんです。客観的に見たら、就職した方がいいかもしれない。そのほうがかしこいかもしれないし、近道かもしれない、と思ったときもありますし、今もそうかもしれないと思うときもあります。でも今やっていることが楽しいから、その道は選ばなかったんだと思います」

「日本とエクアドルと、両方の地域で、持続可能な生き方をする青年達をつないでいくことができたらいいな」と語る亜美さん。夢に向かってしっかり進んでいるのが頼もしい。

■青年へのメッセージ

「やりたい仕事をひとつに決めなくてもいい、と思います。唯一の天職を探すよりも、そのときやりたいことをやっていけば、そのうち自分のスタイルができていくんだと思います」

2003.5.30. 御茶ノ水にてインタビュー 聞き手・文:もん