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〜自然エネルギーで未来を創る〜
 
 地球温暖化や資源枯渇が深刻化している現代に、自然エネルギーと持続可能な未来を目指して、奮闘している人たちがいます。今回は、木質バイオマス(※1)の研究、コンサルティングを行っている「森のエネルギー研究所」代表取締役の大場龍夫さんにお話を伺いました。

【大場 龍夫さん】
1964年生まれ.電気通信大学電気通信学部卒業。NGO「分散型エネルギー研究会」のスタッフ、 廃棄物コンサルタント会社勤務等を経るなか、一貫して自然エネルギーの研究・普及に携わる。
 2001年10月、 日本初の木質エネルギー専門コンサルタント(株)森のエネルギー研究所を設立。代表取締役に就任し、各地の森林エネルギー利用に対して地元密着のコンサルティングを続けている。
 現在、「環境自治体会議」専門委員、木質バイオマスエネルギー技術研究組合理事、「ペレットクラブ準備会」世話人、「信州・木質バイオマスフォーラム」アドバイザー、山梨森林バイオマス利用研究会顧問、静岡森林エネルギー研究会アドバイザーなど。
http://www.mori-energy.jp/


 
 
 
■まっすぐ、迷い道

大場さんは、大学在学中から学生自治会で精力的に活動。卒業研究では、ソフト・エネルギーをテーマに選んでおり、当時から代替エネルギーには強い関心を持っていた。
卒業後、自給自足の農業経験を経て、廃棄物とソフトエネルギーのコンサルタント会社に就職。ゴミ発電・ゴミコージェネレーションなどを手がける。その間、「分散型エネルギー研究会」に参加。中央一極集中型のエネルギー供給構造を地域に分散するべく、活動を続ける。
7年間の会社勤務の後、研究会のメンバーと共に、「バイアブル・テクノロジー」に転職。資源・エネルギーの効率的な利用、太陽光発電、風力発電などの生産方法、システム設計などのコンサルティング会社で、太陽光発電、風力発電などに携わり、同社から分社化・独立する形で「森のエネルギー研究所」を設立、代表となる。

■孫子(まごこ)に持続可能な社会を

森のエネルギー研究所の基本姿勢(※2)になっているものに「四方よし」という言葉があり、「相手よし」「自分よし」「社会よし」「孫子よし」のことだ。
 「相手よし」「自分よし」というのは、ビジネスの世界でよく言われる「WIN-WIN or No deal」ということ。大場さんには、長く付き合っているお客さんが多いが、その秘訣は、波長の合う人、思いの合う人と、お互いに成長できる関係を作っているからだという。
 「孫子よし」というのは、世代間の気配りで、私たちは孫子の世代にプレゼントを残すくらいでないといけない、と語る。
 持続可能な社会を目指そうとするとき、「バックキャスティング」(未来から今を見る)という考え方が役に立つという。大場さんの現在の活動の根底には、こうした長期的な視野があるのだ。
 森からはエネルギーも採れる上、生活に役立つ様々な物質も採れる。大場さんは今の活動によって、現在と目指す未来との橋渡し役になりたいと考えている。そして、今こそ私たちは「これからどうしたいのか」を話し合わなければならない、と語る。

■これから就職しようとする人へ

これから進む道を考える時に大事なことは、大好きなことをすること。そして、特にこれから就職活動をする学生のみなさんには「私はこれをやった」と言えるものを持っていて欲しい。なぜなら、自分という人間がどんな人間で、何が本当に好きなのか、何かをやり遂げる中でわかるからだ、と大場さんは語る。
 大場さんも、試行錯誤しながらも、「何とかなる」と思ってやっていく中で、だんだん自分の道が絞り込まれてきた、という。もちろん、課題は尽きないが、周りの方が心配するくらいで、本人は動いていれば何とかなる、と乗り切ってきた。

大場さんにお話を伺って、静かな語り口と柔和な笑顔の中にも、固い信念と熱い思いが感じられた。真に世の中を変革していく人というのは、そういうものかもしれない、と感じた。

※1 木質バイオマス
 木質バイオマスは、木由来のエネルギー資源で、主に木質ペレットや木質チップ、バイオガスがある。木質バイオマスの先進国スウェーデンでは、総エネルギーの20%を占めている。

※2 森のエネルギー研究所の基本姿勢
 詳しくは、森のエネルギー研究所ホームページを参照。
http://www.mori-energy.jp/

         (聞き手:のぶ、もん 文責:のぶ 取材日2003/6/17)