トラブル隠蔽事件&電力危機問題
最終更新日
概要

2002年8月、東京電力が原発の点検記録を改ざんして炉心隔壁(シュラウド)のひび割れを隠し、14〜15年にわたって運転を続けていたことが発覚した。これを受けて経済産業省原子力安全・保安院は同年11月、福島第一原発1号機の1年間の運転停止を命じる行政処分を行った。東京電力はその他の原発16基も2003年4月15日までにすべて停止したが、地元自治体の合意を取り付けて5基の運転を再開し、冷夏の影響もあって電力危機は起こらずに済んでいる。17基の合計供給力は1730万kWで、同社の全発電能力約6040万kWの約29%を占める。
場所
東京電力の13基の原発
経緯
告発者を企業側から保護し告発しやすくする「内部申告奨励制度」が法律で新設された二日後の2000年7月3日、ゼネラルエレクトリック社員の内部告発により発覚したが、告発を受けた原子力安全・保安院では2年余りも放置し、2002年8月29日になって「原子炉の安全性に直ちに重大な影響を与える可能性はない」という釈明つきで発表された。 2003年4月15日までに全ての原発を停止し、2003年夏の電力需要に応えられない恐れが出てきたため、東電では省エネを呼びかけるCMを盛んに流した。しかし、結局5基が運転を再開し、また冷夏の影響で電力使用量 が抑えられたため、停電には至っていない。
問題点

・東京電力と原子力安全・保安院の癒着。
・基幹産業であることの甘え、染み付いた隠蔽体質 ・利益を追求する私企業のため、修理などにかかる膨大な費用を削減する思惑
・原子力安全・保安院より東電への、告発者のプライバシー情報の漏洩
・「原子力を運転再開しないと停電になりますよ」と言わんばかりの、盗人猛々しい居直り的なCMキャンペーン。

出典

共同通信NEWS INDEX「原発トラブル隠し」
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2002/toden/subs/zenmidasi.html

読売新聞「電力供給危機」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/dr/20030415md01.htm

原子力資料情報室
http://www.cnic.or.jp/

調査日:2003年8月30日

 
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