|
第2部 新聞による広報
Section
2-1 広報(新聞)の手順
市民団体や青年グループにとって、一番とりかかりやすく、且つ大きな効果を持つ媒体は、やはり新聞です。ここでは「いかに新聞に記事として載るか」について解説していきたいと思います。もちろん同じような活字のメディアである雑誌などにも応用は十分可能です。
●いかに新聞に記事として載るか?(掲載へのステップ)
1) 記者探し (コネを基本に)
2) プレスリリースの作成
3) プレスリリース送付
4) 記者をプッシュする
5) 取材を受ける
6) よければ掲載
7) フォローアップ
8) 掲載日の対応
9) 掲載紙を入手する
1) 記者探し (コネを基本に) 
まず記者探しから始まります。記事にしてくれそうな記者を探すにはどうしたらいいのでしょうか。
この頃は環境問題や市民活動などに関心のある記者も増えてきており、日頃からそういう記者と仲良くなっておけば、後々大いに助けになります。
初めての人が記者を探すのはなかなか簡単ではありませんよね。そこで一番いい方法は、既に周りで記者を知っている人や団体を見つけて、問題に関係した記者を紹介してもらうことです。普段お世話になっている団体に趣旨を説明すれば喜んで紹介してくれるでしょう。
しかし、ここで注意してもらいたいことがあります。このようにして他の人からの紹介によって記者とコンタクトをとる時は、必ずその記者に、「誰々さんの紹介で来ました」や「誰々さんからの紹介でお電話しています」など、紹介してくれた人との関係をまずはっきりと伝えましょう。
これは必ず守ってください。なぜなら、あくまでも、その記者を紹介してくれた人・団体との日頃の関係に基づいて、自分たちがコンタクトをとることが可能になった訳ですから、その関係を尊重しなくては、どちらに対しても失礼と思われてしまい、大きな損をしてしまうことになるからです。
記者と知り合いになるためのちょっと際どいやり方を教えましょう。自分が普段新聞を読んでいて、環境関係や社会問題など関心のある分野の記事で「これはすばらしい記事だ」と思うものを見つけたら、記事を掲載している新聞社に電話をして「○月○日の朝刊の○面のこの記事を書かれたのはどなたですか?差し支えなければ紹介して頂きたいのですが・・」と自分の身元をはっきりさせた上で聞いてみてください。成功率は低いかもしれませんが、読者からのよい反響というものは記者としても嬉しいということですから、試してみる価値はあります。この方法で記者に連絡を取る場合は、
最初から「記事にして欲しい」や「取材してください」という要望ではなく、まず、その記者の記事に共感した上で「ぜひ相談に乗って欲しい」というような姿勢でアプローチするといいでしょう。
また、すでに何人かの記者を知っていて、1度でも取材を受けたことがあるなら、そのコネは必ず使うべきです。たとえそれが1年ぐらい前だったとしても、名刺などを保存しておいて、それを基にまずコンタクトを取ることが重要です。
そのほか記者と会う色々な機会があると思います。そのような機会を逃さず、記者に会える時は名刺を必ず作って持っていく、企画のパンフレットを持参するなど、常日頃から用意をしておく心構えが、広報の成功を決めるのです。
2) プレスリリースの作成
常日頃から交流があり、よく知っている記者が、「必ず記事にするよ」といって取材してくれるような特別な場合をのぞいて、普通の広報はとにかく多くの記者・新聞・雑誌に地道にあたることが求められるので、企画の内容や団体の紹介などが簡潔にまとめてある「プレスリリース」というものが必要となってきます。
この「プレスリリース」の詳しい作り方は、後に述べます。
3) プレスリリースの送付
プレスリリースを作ったらFAXを使って送りましょう。送る際は、事前に「送らせて欲しいのですが・・」と電話で連絡し、送信後も「ご検討よろしくお願いします」と電話をするのが望ましいやり方です。送信前後のどちらかだけでもよいですが、全く電話しないのは印象を悪くしてしまうので、損をしてしまいます。それでなくても、記者という人たちは基本的に忙しいのです。できるだけ見てもらえるように注意を引く必要があります。ですから、がんばって電話してみましょう。
またポイントとしては、プレスリリースを「送る時期」です。イベントなどの参加者募集をしたいのなら、そのイベントの1週間前ぐらいに載るようにするのがベストです。あんまり早く載ってしまうと、人は忘れてしまうからです。それ以外であれば、余裕をもって企画の1ヶ月ぐらい前に送り出すのがよいでしょう。
4) 記者をプッシュする
プレスリリースを記者に送った後、2〜3日の「いかがですか?記事にして頂けませんか?」、「できれば取材して頂きたいのですが・・」というような趣旨の「プッシュ」の電話をします。
繰り返すようですが、記者はとにかく忙しいので、嫌われない程度に何回もあたってみることが肝心です。しつこく連絡すればたいてい興味を示してくれるはずです。
5) 取材を受ける
いい感触がえられれば、取材してもらうことになり、掲載という運びとなるわけですが、ここでも注意することがあります。
記者と会う時は、企画に関する様々な資料はそろえておく必要があります。例えば、企画書、団体紹介パンフレット、機関誌、団体紹介の写真、名刺、過去に発行した冊子、取材とは関係なくても現在行っている活動資料、相手が新人記者なら過去の報道採録(今回取材してもらう活動の記事がもし他の雑誌、新聞に載っていても持っていかないように注意して下さい。すでに他紙に掲載されていると記者のやる気がそがれます)など、色々資料があった方が、記者に対する説得力が増します。またイベントなどに取材に来てもらう時には、記者用に団体説明や企画の趣旨などを簡単にまとめてクリアーファイルなどにいれてある「プレスセット」を作っておくといいでしょう。
新聞や雑誌の記者は原稿を締切までに書かなければならないので、なるべくそのまま使えるような文章や売り文句をこちらで用意しておくと、とても喜ばれます。
取材される時は団体の事務所に記者が出向いてくれる場合と、外で会う場合の2通りの方法があります。どちらにしても記者に連絡を取った広報担当者と取材してもらう企画の責任者、又は、団体の代表の2〜3人位で対応しましょう。
特に団体や企画の募集の記事の場合は必ず団体の電話番号を載せてもらうようにしましょう。例え事前申し込みが必要でない場合でも、反響を見ることができますし、新聞の効果を確認できます。
6) 掲載
取材を受けても、必ず掲載されるとは限りません。ここは新聞社内の色々な事情が影響してきますので、運を天に任せたような気持ちで待つほかありません。同じような時期に政界に大きな動きがあったり、大きな事件・事故が起こったりしたら、掲載される確率はぐっと低くなってしまいます。
掲載されることが決まったら喜ぶ暇もなく、掲載日と朝夕刊の区別を記者から聞いて、パイロット版などをFAXで送ってもらい(大抵の記者は言わないまでもやってくれます)、記事内容に掲載前に目を通しておくのがいいでしょう。なぜなら、時どきこちらが意図していなかったように書かれたり、事実と違っていたり、解釈がとんでもなかったり、連絡先が間違っていたりすることがあるからです。
以前、どこかの新聞の1つのまとまった記事内で、見出しにはAという団体の名前が使われ、記事内容は別のBという団体の活動についてのもので、使われている写真はまた別のCの団体の活動風景だった、ということがありました。いずれも環境問題を扱っている団体だから混乱してしまったのでしょうが、残念な失敗例です。
7) フォローアップ
掲載された後は、必ず記者にお礼の手紙を出したり電話を入れたりすることが大切です。人のつながりが成功を生むのです。また、社会の常識でもあります。
「記事にしていただいたおかげで、○○のような成果を出すことができました。」など一言を添えると、記者としても「記者冥利に尽きる」と感じて、「次もなにかあったら連絡してくださいね」など嬉しい言葉がかえってくるかもしれません。何においても人脈は大切です。
8) 掲載日の対応
記事が掲載される日にちや面を事前に確認し、なるべく早い時期にその記事を入手しましょう。事前に記事内容を確認していても、編集の関係で字数が減っていたり、何面に載ったのかによっても読む人の感想は変わってきます。新聞のチェックは完璧に行いましょう。そして、特に募集関係の記事で電話番号が掲載される場合は、朝の8時か9時には必ず電話回線よりも多くのスタッフが事務所にいることが大切です。回線が1本なら2人以上、3本なら4人以上のスタッフが必要です。電話を受けるだけではなく、掛けてきてくれた人の連絡先を聞いてメモをとったり、会場の地図をFAXしたり、コピーを取ったり、やらなければならないことがたくさんあります。また、この電話対応をするスタッフは掲載された記事に必ず目を通しておきましょう。電話をかけてくる読者は内容をよく理解していないので、記事の言葉を使って電話をしてくるからです。
私たちA SEED JAPANでは、数年前にハガキ大の大きさの記事が掲載され、1日に80本の電話がかかってきたことがありました。たまたま、事務所にいた2人のスタッフが対応しましたが、わからないことが多く事務所はパンク状態でした。事前に記入用紙を作っておいたり、考えられる質問内容をマニュアルにしておくことも広報担当の大切な仕事といえるでしょう。
9) 掲載紙を入手する
後日報道採録(掲載された記事のパンフレット)を作るため、必ず原本を入手しましょう。(○○新聞200○年○月○日○面が書いてある紙面の上の淵の部分も含めて)
地方版に載ったものなどを送ってもらう場合は、コピーではなく原本を送ってもらうことを強調しましょう。コピーは取り方が悪いと全然使いものになりませんし、ましてや記事の部分をペンで囲ったりしないようお願いする方がいいでしょう。原本も、記事のある面を1ページ丸ごとそのまま送ってもらったほうが無難です。
報道採録は、例えば何かの折に記者に見せる場合は、その記者の所属する新聞社の記事があればそれをはじめのページにもってくるのが礼儀です。
報道採録は、団体の社会的な信用を見せるために非常に重要な物です。特に助成団体や企業などの協力を得るためには大変重要なツールになりますので必ず企画ごとや団体として年度ごとに作成しましょう。もし、報告書を作成するのなら最後の方に参考資料として出すのもいいでしょう。
Section
2-2 知っておくと便利な広報(新聞)に関する知識
1) 記者とのつながりを持っておくことが重要
記者とは「1度会ったらお友達!」のつもりでつきあうことが重要です。記者の方もわかっている人はそうするはずです。
またさらに、そのつながりを個人的なものにとどめておかず、もらった名刺をファイルに整理するなどして、団体内で人脈情報を共有するように務めることも重要です。そうしないと、団体内で大きな「代替わり」が起きた時などに、人脈がそこでとぎれてしまうことになります。特に代替わりが頻繁に行われる学生のサークルなどでは、注意が必要です。
2) 新聞社内の「部」の違いを知っておく
ここでの「部」とは社会部や政治部などの「部」のこと。つまりそれぞれの部はそれぞれ独自の話題を集め、独自の紙面を持っていますから、自分たちが発信したい情報の種類によって、どの部が1番載る確率が高いかが違ってくることになります。
市民活動などをやっている時に一番お世話になると予想される「部」は、社会部・生活情報部と呼ばれるところです。
社会部はいわずと知れた、社会一般に起きた事件などの出来事をとりあげる部です。テレビ欄をめくったところの4コマ漫画のある見開きの紙面などがいわゆる社会面です。
生活情報部とは、読んで字のごとく読者にさまざまな生活に関する情報を提供する部でのことです。例えば単なるイベントのお知らせなどは、ここの部が担当します。
両者の違いは何でしょうか。ここがポイントです。
社会部は出来事として報道するため、普通の記事と同じようにしてとりあげられるので、それなりの社会的影響力を期待でき、読者に関心を呼び起こすこともできますが、世の中にはたくさんの出来事が起きているので、取材されても必ずしも掲載されるとは限りません。先ほど紹介したように、大きな事件などが起こった時とぶつかると、ほとんど紙面がとれなくなるでしょう。
生活情報部は、募集などの「お知らせ」的な要素が強いので、読んでいる人の関心を呼び起こしたりはしませんが、載る確率が高くなります。イベントなどの告知だけならば最適でしょう。また、生活情報部や家庭面でNPOの特集を組んでいることもあります。イベント情報だけではなく、特集記事の中に団体の紹介を書いてもらうことも時期が合えば可能でしょう。
両者とも一長一短なので、単なるイベント参加者を募集したいだけなのか、人々の関心をあおってみたいのか、どちらかをよく判断して、連絡する先を見極めるとよいでしょう。
3) 地方版と全国版の話
全国紙と呼ばれる新聞には、全国の話題が載っている全国版と、自分が住んでいる周辺の話題がとりあげられている地方版と、2つの紙面があることは皆さんも知っていますよね。社会への影響力を考えてみれば、全国版に載った方がすばらしいかもしれませんが、載りやすさからいうと、断然地方版の方が載りやすいのです。全国版に載るのは至難の業です。
取材の際、はじめから地方版でとりあげる、と決めてある時もありますが、大体は本社の方で記事内容を判断して地方版の方に回すことが多いようです。
ここで気をつけなければならないのは、ある記事が全国版より先に地方版の方に載ってしまった場合、その記事はよっぽどのことがない限り、もう一度全国版の方でとりあげられはしない、ということです。つまり、まず地方支局の記者に取材してもらって地方版に載ってしまったなら、同じネタを本社の記者に伝えても、全国版でもう一度載る可能性はほとんどあり得ないということです。これを理解していないと、無駄な労力が生まれてしまいます。
4) 新聞社について
新聞社によっては、一流紙の意識が高く、同じ時期に自分のところよりも先に他の新聞にとりあげたネタは、なかなかとりあげようとしないそうなのです。つまり、特定の新聞をひいきにしている場合であっても「まだどこにも載っていませんよ、1番に伝えましたから」という言葉を加えれば、載る確率も高くなるでしょう。
5) 事前報道と事後報道
市民団体が行う企画などの報道の仕方には2種類あります。
企画が始まる前に報道する「事前報道」と、何かが終わった時に報道する「事後報道」です。基本的には「事前報道」の方が多いそうです。
ポイントは、事前報道なら単発のイベント(例えばコンサートや海岸ごみ拾いなど)でもとりあげ易いらしいのですが、事後報道はそのイベントならイベントの後、何かが生まれて、引き続き社会に影響していく可能性のあるものでないととりあげにくいのだそうです。
例えば、国際会議などで行動計画が採択され、それをもとに新たな組織が活動を開始する場合だとか、ある本が出版されて、それをもとに全国で様々な団体が活動を開始していく、という場合なら、事後報道が可能になります。よって、自分たちが今からやろうとしている企画はどういう性格のものなのか、しっかり判断して広報戦略を練らないと、記者に「もっと早く言ってくれれば・・」なんてことを言われることになってしまうかもしれません。
6) 企画内容をしっかり把握
当たり前の事ですが、広報する企画の内容をしっかり把握しましょう。実際に取材を受けたり、記者に電話で質問された時にしっかり答えられないと信頼を落としてしまいます。団体の広報担当者が無理に各企画やプロジェクトの広報をやろうとせず、その企画内に広報担当を決めパートナーシップで進めていくようにすればいいでしょう。広報担当者は、記者に提出する資料の全てに目を通し、売り込みたい企画の内容に関する会議や全体の集会には参加し、その企画の「売り」や特に「内容」に関しての専門家になるように務めましょう。他にも、取材して欲しい企画に関わる予算や資金計画、スタッフやボランティアの数、協賛、後援団体や賛同人との関係、団体の設立の趣旨や経緯などを知っていれば完璧です。もちろんわからないことを尋ねられたら「担当者に確認し折り返しお電話させて頂きます」と伝えうろたえないようにしましょう。
以上いくつか豆知識を書きましたが、やはり広報をする時に大切なのは、その企画の自体のおもしろさ、興味深さであるし、それをその企画の「売り」として、いかにうまく且つ簡潔に全面に押し出せるか、に成否がかかっているといっても過言ではないでしょう。
Section 2-3 プレスリリースの作り方
では、広報の手順が少しはつかめてきたなら、基礎となるプレスリリースの作り方をマスターし、より効率的な広報に結びつけてみましょう。
●大切なポイント
とにかく簡潔に。人間工学によれば、人を読む気にさせる書類の量はA4で1枚から2枚だそうです。そうでなくとも記者は忙しいのだから、長く書いても読み飛ばされてしまいます。
同じような理由で、きれいに書くことも大切。目を引くようなこだわりを持つとよいでしょう。
また、簡潔な中にも、その企画の「売り」は何か、ということを明確にするのが大切です。「日本で唯一、初めて、最大」などということは一番立派な売り文句になりますので、嘘にならない限りで使ってみてください。
プレスリリースは、とにかく記者に「企画はどういうものであるのか」「何をとりあげて欲しいのか」「やっている団体はどういうものなのか」などを手短に理解してもらうために、それぞれについて簡潔にまとめたもののことをいいます。
したがって、そのような事柄が伝わりさえすればよいのですから、形式には決まりはありません。盛り込む内容に不備な点がなければ、どういった形式でも原則的にはかまいません。
取材に来て欲しい、ということをにじみ出す。「取材していただきたく…」とストレートに文中に盛り込むことも一つの手ですが、イベントなどをやる場合に「当日取材の案内」と別記して、「1時に○○(場所)までおいでいただければ幸いです。報道用の受付を用意させていただきますので・・」と一文加えておけば、「本当に取材に来てもらいたい!」という気持ちがにじみでて、よい印象を与えることができます。
最後に、プレスリリースと掲載された記事を参考資料として紹介します。
A SEED JAPANのエコ貯金プロジェクトが2004年に「エコ貯金フォーラム」を開催しました。エコ貯金とは戦争や環境破壊に加担せず、未来のために運用する預金行動のこと。藤井良広氏(日本経済新聞編集員:当時)と金融機関からのゲストをお招きし、金融機関の社会的責任(CSR)を焦点に課題と展望を明らかにしました。
フォーラム開催の約1週間前にプレスリリースを行い、事前・事後を合わせて9つの新聞・テレビ(日本経済新聞、日本消費者新聞、ニッキン、消費経済新聞、財政金融事情、金融経済新聞、NHKなど)から取材の問い合わせを受けました。
|