フェア・ファイナンス・ワークショップ 私たちの預金がコアラの森を破壊する?

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2月28日の14:00~16:30に、アウトドアメーカーのパタゴニアの協力を得て、御茶ノ水にあるソラシティのカンファレンスセンターで、
「私たちの預金がコアラの森を破壊する?」
と題して、フェア・ファイナンス・ワークショップを開催しました。フェア・ファイナンス・ガイドについて学ぶとともに、「自然環境の破壊」を事例として、

  • 私たちの預金が具体的にどんな事業に使われてしまっているか
  • それを止めるために私たちにできることは何か

について考えました。

 

プログラムの内容としては、まず初めに、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝氏がフェア・ファイナンス・ガイドの紹介をしました。フェア・ファイナンス・ガイドは、銀行側がどのような方針で融資をしているのかを知るという預金者にとっての利点だけではなく、銀行側にとっても、自分たちの融資方針の社会性に対する努力を預金者に知ってもらえるという利点を持つ取組であるということが印象に残りました。実際に、フェア・ファイナンス・ガイドの活動を続ける中で、りそな銀行と三井住友信託銀行が融資方針を変えたと聞きました。(フェア・ファイナンス・ガイドについて、詳しくはこちらをご覧ください。)

 

次に、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の川上豊幸氏に、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州における森林伐採問題の紹介をしていただきました。コアラをはじめとする、貴重種や絶滅危惧種に指定されている野生動物の住む保護価値の高い森林を伐採している製紙会社があり、そのような企業に融資している銀行があるということを具体的に紹介していただきました(詳しくはこちらをご覧ください)。古紙100%やFSC認証のマークがついている紙が環境にやさしいそうです。

 

続いて、登壇者お二方とA SEED JAPAN土谷に加えて、パタゴニアの篠健司氏の4名で、「自然環境破壊を止めるために、企業、金融機関、政府にどう働きかけることができるのか」と題してトークセッションを行いました。篠氏によると、パタゴニアもNGOからの批判をきっかけに、原材料から廃棄まですべて見直し、サプライチェーンを透明化してきたそうです。そのような経験をヒントとするなどして、フェア・ファイナンス・ガイドの取組に実効性を持たせるための方法について、4名で話しました。

 

最後に、ワークタイムとして、参加者の方々を含めて、お金の流れを変えていくためにできることを話し合いました。あるグループでは、それぞれが、行っている活動を広めていく際に苦労した経験を持ち寄って、フェア・ファイナンス・ガイドの取組を広めるための方法を考えました。他にも、企業のCSR※担当者向けのセミナーを開催してほしいという意見や、まず大学の研究室単位で環境にやさしい紙の利用を呼びかけたいという意見がありました(※CSRとは、Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)のことです。これにより、本来利益を追求する存在である企業が、社会的存在としての社会に対する責任から、顧客や株主だけではなくいろいろな立場の人々にとって望ましい活動をします。詳しくはこちらをご覧ください。)

 

今回は、約25名の方にご参加いただき、学生さんが比較的多かったです。積極的に質問していただいたり、ワークタイムでも活発に意見交換していただいたりしました。ご参加していただいたみなさん、ありがとうございました。

私は、インターン生としてこのA SEED JAPANで活動しており、今回イベントに初めて携わらせていただいたのですが、イベントはこうやって作られていくんだなあと思いました。特に、専門家4名によるトークセッションは新鮮でした。イベントを通して自分たちの活動を広めていく、よりよくしていく方法を見ることができました。そして、フェア・ファイナンス・ガイドの取組は実効力のある、広める価値のある活動だと思います。なぜなら、銀行が私たちの預金をどのような企業に融資しているのかを、フェア・ファイナンス・ガイドが可視化することによって、結果的に企業に社会的責任を果たすインセンティブを与えることができれば、個人単位よりも大きな単位で社会問題を改善させることができると思うからです。

A SEED JAPANの今後の活動にぜひご期待ください。

2016-03-09