プレスリリース 2003年1月25日

国際青年環境NGO「A SEED JAPAN」
第三回世界水フォーラム50日前に、
アジア開発銀行総裁に公開質問状を送付
融資条件から水道サービスの民営化を除外することを要求

A SEED JAPAN奪われし水キャンペーンは第3回世界水フォーラム開催50日前である1月25日に、アジア開発銀行(以下ADB)千野忠男総裁宛に、ADBの水道サービスの民営化に関する公開質問状を送付した。

A SEED JAPANの奪われし水キャンペーンでは国際金融機関の融資条件から水道サービスの民営化を除外することを目標に、第三回世界水フォーラムへ向けて活動している。第三回世界水フォーラム開催期間中は海外のNGOと連携し、3月16日と21日に大規模なダイレクトアクションを展開する予定だ。

この件に関するお問い合わせはA SEED JAPAN(担当;三本、鈴木)まで。

国際青年環境NGO A SEED JAPAN
〒160-0022 東京都新宿区新宿5−4−23
Tel;03-5366-7484  Fax;03-3341-6030
E-mail:asj@jca.apc.org URL:http://www.aseed.org/

以下は、送付した公開質問状である。



アジア開発銀行の
水道サービスの民営化に関する公開質問状

2003年1月25日 A SEED JAPAN

アジア開発銀行(以下ADB)は2001年の年度報告書において「水は社会的に不可欠な経済商品である」と位置づけ、「企業が水道サービスを管理することで、水道システムの効率的な運営が期待できる」と述べています。しかし、水道サービスの民営化は、必ずしも安全な水へのアクセス拡大に有効な政策でないことは明らかで、私たちA SEED JAPANはADBの融資条件から水道サービスの民営化を除外し、民主的な公共事業体による水管理を支援するべきだと考えています。そこで、以下の質問をお聞きしたいと思います。

質問1;
 1981年、チリは国の政策として水利権の制度を導入しましたが、その政策は貧しい農民にとって負担が増大するものであると多くのNGOが指摘しています(※1)。ADBはスリランカに対しても水利権制度の導入を含む国家水政策を要請していますが、多くのNGOはこの政策がチリの二の舞になるのではないかと懸念しています(※1)。総裁は水道サービスの民営化が貧困層への負担を増大させる可能性についてどのようにお考えでしょうか。

質問2;
 ADBは市場メカニズムにおける競争を通して、より良い水道サービスが提供できると提唱しています。しかし、実際はビベンディ社とスエズ社の2社によって150カ国2億人以上もの人々へサービスが提供されており(※2)、PSIRUのDavid Hallは、これらの2社によって市場は超寡占状態であると指摘しています(※3)。この事例からも、市場メカニズムにおける競争が機能していないことは明らかです。総裁は、このような市場独占の中で、より良い水道サービスが提供できるとお考えでしょうか。

質問3;
ADBは貧困削減のために水道サービスの民営化を提唱しています。しかし、ビベンディ社は2001年1月、グループの総債務(165億ユーロに相当)を水、エネルギー、廃棄物、輸送業務(同社のいわゆる環境部門)に負担させました(※4)。このように、途上国における水道サービスで発生した利潤が先進国へ流失していることは明らかです。総裁はこのような資本流出が、本当に貧困削減に繋がるとお考えでしょうか。

質問4;
世界各地で民主的な公共事業体による水道管理が行われています。例えばブラジルのリオグランデドスル州の州都ポルトアレグレでは、民主的な方法によって公共事業体による水道管理が行われ、ブラジルで一番高い99%の水供給率を誇っています(※5)。総裁はこのような民主的な公共事業体による水道管理を、ADBが支援する可能性についてどのようにお考えでしょうか。

参照;
(※1)Kannikar Kijtiwatchakul ADB’s the New Policy
Eradication or Poverty Intensification?
http://www.terraper.org/English_part/hot_issues/water_policy.htm
(※2)モード・バーロウ,2001,BLUE GOLD奪われる水資源 ,市民フォーラム2001
(※3)David Hall , 2001 , Water in Public Hands, PSIRU (Public Service International Reseach Unit) 
(※4)FT Business Report: Energy, 2001,Global News wire, 09-02-00
(※5)David Hall& Emanuel Lobina,2002, Water in Porto Alegre,Brazil , PSIRU (Public Service International Reseach Unit)

なお、当質問状は2月15日までに、具体的に文書にてご回答をお願い致します。

返答先:
国際青年環境NGO A SEED JAPAN
〒160-0022 東京都新宿区新宿5−4−23
Tel;03-5366-7484  Fax;03-3341-6030
E-mail:asj@jca.apc.org URL:http://www.aseed.org/


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