HOME >
キーワードを入力
 
 
 
 
 

 

 
 



エコ貯金フォーラム報告書 > 第2部 分科会(出資型)

2:出資型分科会

講師: 田中優氏(未来バンク事業組合理事長)

みなさん、こんにちは。未来バンクの田中と申します。みなさん、あちこちからお越しいただいているし、おそらくこのような機会は日本で初です。非常に貴重な機会になると思いますし、お越しいただいた人たちになるべくお話をしていただきたいので、さくさく進めていこうと思います。

最初に、出資型の共通点をおさらいしてみたいと思います。まず言えるのは、我々の中には、基本的に「金の中央集権が悪い」と考えている人が多いということです。お金が集められて、それが勝手に一部の人だけで使われてしまう。東京に集められたお金は地方に公共事業として配られていくが、地方の人が貯金した額は多いにも関わらず、その使い道は東京が決めてしまう。将来のために貯金したお金であなたのところに原子力発電所を作ったり、ダムを作るから立ち退きを要請するというような、未来を粉々にする形で使われている。この集権的な金の使い方がそもそもおかしい、というように考えているメンバーが多いということです。今のお金の使われ方はまずいし、社会的責任投資と同じように、こんなところに使わせたくないという思いがあります。一方で、こういうところに使いたいという思いもあります。この思いはそれぞれの団体ごとに異なりますが、それぞれの団体が思うニーズがあり、それに対して、それぞれの団体が実施しているように思います。そのニーズは必ずしもエコロジーでなくてもいい。反戦であってもいいし、中小企業を守るためでも、地域の商店街を活性化させるためでもいい。大事なのは、目的を持って、そのニーズに対応するためにやっている、ということです。

もうひとつ面白いのは、地域性を重んじる、ということが非常に多いということです。地域分散型のものとして、それぞれの地域の中でやっていこうと考えている場合が多い。一方で銀行を作ろうと考えると、日本の銀行は護送船団方式をとっているため、その仲間に入らないと銀行が作れません。そういう状況の中でどうやっていこうか、苦心惨憺をしているわけです。普通、出資には配当がありますが、我々が考えているところではほとんどありません。金利を下げていこうという形でやっている場合が多いからです。その方向性として、NPO/NGOに融資しようと考えている場合が多いですね。組合員制度を作り、その中で、出資・融資をする閉じた形をとることが多い。だから、なるべく情報公開をやっていこうと思っています。

私の未来バンクは10年前、自他共にすぐつぶれるだろうなと予想しつつ、20人400万円、しかもそのうち3人が100万円ずつ出したという超みみっちいところから始めました。今は1億3,000万くらいの出資金があって、貸し倒れはなし、貸出金合計は5億4,000万くらい、金利は3%の固定でやっています。私たちは専従をおかないという方針でやっています。1億円を1年中回したって、必要経費を差し引いたら残りは100万円にしかならず、人件費すらままならないからです。人件費のいらない中で、最大限の出資を目指すという形で進めています。日本で一番大きなバンクになろうという気持ちはさらさらなく、小さなバンクがたくさんできるのが一番望ましい構造だと思って進めています。地域ごとに、地域のために生まれていってほしいですね。まもなく、ミスチルの桜井さん、マイラバの小林武史さん、坂本龍一さんらが出資して、自然エネルギーを普及させることを目的とする「ap bank」ができますが、お手伝いする予定です。石油依存がなくなれば石油を目的とする戦争もなくなるからです。それぞれのニーズや考え方に見合ったバンクを各地域の人たちが考えて作っていく、これがもっとも望ましいことではないでしょうか?
いまの話を最大公約数的に考えてもらって、何を目的にどこに融資するのか、特徴的な部分に対する考え方を今日いらっしゃったみなさんに述べていただきたいと思います。

<事例紹介>

〔ゲスト発表〕
 
[1)横沢善夫氏(岩手県消費者信用生活協同組合専務理事)]

銀行が貸す方と高金利業者から借りる方との間を詰めることを目的としてやっています。なかなか実現できなくて、当時の出資金は230万円、貸付残高は2,000万円でした。現在は出資金が8億5,000万円、貸付残高が73億円で、すべて多重債務者救済のために使っています。ミッションが大事です。高金利で払えないともわかっていながら自らの責任で借りた人たちにどうして救済するのかと、ものすごい批判を受けたこともありました。借主責任論といいますか、だからといってその人たちをほっといていいものなのでしょうか。当初は、消費者金融会社がものすごく対抗しました。大手消費者金融会社は1兆6,000億円貸し出して、2,000億円をもうけています。人の弱みにつけこんだ金融がはびこっている中で、われわれはやってきました。平成元年に自冶体提携消費者資金貸付制度を発案しまして、自治体のお金を金融機関に委託して、協調融資を信用生協の方から受けています。現在、県内の58市町村中53市町村が、このために11億円を拠出しております。44臆円で救済活動の原資を確保しています。それに8億円の出資金をプラスしてこの活動を行っています。

この中から運動が発展して参りまして、金利をつけないで貸さなければいけない方々も出てきました。暴力から逃れたり、あるいは、リストラその他によって生活保護が受けられない方々です。こういった方々につなぎの資金が必要なので、NPOをもうひとつ作ってシェルターも作りました。住居の斡旋、就労、生活保護や児童福祉手当てを受けるまでのつなぎの資金を無利子で出そうという取り組みも始めています。あとは資料をご覧ください。

《田中優氏コメント》
以前、横沢さんとお話したときにすごく印象に残ったのが、岩手には借金200万で自殺してしまう人がいるんだ、という話です。彼らに手をこまねいているだけでいいのか、という考え方がひとつの発端になっているような気がします。ひとつの大きな「命」という価値観をもった形での、出資型としての自分たちのお金の使い方があるということをご承知いただきたいなと思いまして、横沢さんの方から紹介いただきました。 
次に、北海道NPOバンクの杉岡さんにお話を伺います。杉岡さんの方からは、オーソライズされること、そしてまた、サポートを受けることの必要性についても紹介していただければと思います。

 
[2)杉岡直人氏(北海道NPOバンク)]

北海道NPOバンクはNPO事業組合とセットになっておりまして、出資を明確に確保できるような受け皿をまず作って、事業組合から融資を受ける形でNPOが貸付事業を行っています。貸金業(NPOがお金を貸し付けること)という制約が働いています。行政が設立当時から出資金4,000万円のうち半分を出してくれていまして、内訳は北海道が1,500万、札幌市が500万です。出資の内容ですが、北海道の場合はまず第3セクターにお金を出して、第3セクター経由で出資してもらっています。また札幌市の場合は、永久劣後ローンという形態をとっています。お金を受け取るときに思わぬ税金の問題が発生しないようにみなさんが組織を作る際には検討する必要があるかと思います。さて、出資金の残りの2,000万は企業および市民から出資をうけていまして、それを元に、年4回貸し付けを行っています。貸し付ける際には新聞社に広報をお願いしたり、HPに載せたりします。また、バンク便りを出して、事業がどのくらいうまくいっているか、借りた方はどう受け止められているのか、といった情報を伝えています。HP上でも公開しています。

貸し付けについてですが、募集から審査(書類・面接・審査がある)の順で行っていまして、1年中審査業務が続いています。最終的には理事会で決まるのですが、審査委員会の負担が大きいのが特徴だと思います。NPOにお金を貸し出しているところは少ないので、小口金融的にお金を貸せる仕組みはないかと考えていました。NPOの事業に行政から資金の入るケースが増えつつありますが、つなぎ融資がむしろ不可欠で、そういう意味では、行政にとってもNPOに融資が行われるのは、行政がNPOに事業をまかせていくには都合の良い仕組みになっているのが見えるかと思います。

どのように協働の成果をあげていくかが課題なのです。私どもは、20万から200万までの幅で資金を貸しております。1年間で返していただくということで、金利は2%です。うちも職員として専従はおいていなくて、事務員はNPOサポートセンターの仕事をしながらこちらを手伝ってもらうことにしていて、理事会としては1年に12万円程度の謝礼を出してお願いしている状態です。お金を貸していながら、自分たちは自律できていないという状況にあります。当面はパートを雇うのが難しい状況でやっていくしかないですね。こういう事情の中で、行政や政策投資銀行、労金スタッフの方々に協力してもらっています。公認会計士の方や大学の経営学の先生、一般事業家の方に審査委員となってもらったり理事会に参加していただいたりして、専門家の立場からNPO融資の計画性・社会性みたいなものを評価して、理事会で最終的に決定します。信頼できる評価の仕組みをもっていて、NPOがお金を借りることができればNPOとしての事業活動が評価されていくというNPO側のひとつのメリットになっているかと思います。

オーソライズという点では、確実にお金を返すというのが大切ですが、私たちの方は20万、30万のお金を返して、計画書も作れるというのは、ひとつのステップだと思います。NPOが健全な事業体としてできているということを保障できるとも言えますし、NPOそのものが適切な運営をやるものとして、行政もNPOを支援するのは、NPOの力がないと難しいことなので、NPOの機能を高めていくという面では、行政の出資を集めやすくすることは重要だと思っています。北海道は広いので、遠地のNPO活動に対しては、電話やFAXしたり、来て説明してもらったり(お金がなくて来られない団体は電話で)、予備審査をしたりします。
そのため、私どもは道内にいくつか拠点を設けて、ネットワークを組んでいく必要性を感じています。行政の協力をうまくリードしながら資金を高めて、一般の市民の方にもわかりやすいメッセージを発信していきたいですね。私たちの一番の問題ですが、NPOをする方が出資者として登録して事業組合に出資をするというのが非常に少ないので、事業をやろうと思っているNPOが出資者としてどのくらい自分たちに投資をしていけるかということが、バンク事業に対する信頼を高めるためには重要だと思います。以上です。

《田中優氏コメント》
NGOを始めると、いいことをするのに金まで出すのかと言われるんですね。自分たちが社会を作る側になると、リスクも一緒に背負わなきゃいけないけれど、ここまでの覚悟はないという人が多くいて、そこを越えられないと感じることが多いです。
次に、信用組合レベルは整っているけれど、認めてもらえなかったり、壁があったりすることについても含めて、向田さんの方からご紹介をお願いします。

 
[3)向田映子氏(女性・市民信用組合準備会代表)]

私は女性市民信用組合の設立準備をしています。生活クラブ生協で活動していた人達が中心になって、ワーカーズ・コレクティブ(働き手であり、経営者である働き方)という形でいろいろな市民事業をしてきました。20年前から、その人々が起業しようとするときに、自分たちのお金だけじゃ足りなくて、銀行に融資を申し込んだところ断られたということが98年までに20件あったんですね。そこでその人達は債券を発行し、生協にお金を借りたりと、苦労しながら来たわけです。バブルが崩壊した後、銀行に預金を預けっぱなしにしてはいけないという反省から、自分たちで信用組合を作りたいとも考えました。信用組合を作るには、認可が必要で、300人以上の賛同者と2,000万以上の出資金(横浜に事務所がある場合)が必要です。そこから始めようということで、賛同者を募り出資金を集めました。しかし、出資金が集まり始めたときに、それを銀行に預けたら何もならないと考え、出資したもの同士が助け合うという形で、未来バンクの例を参考に動き始めました。

現在は、個人賛同者500人、団体は50団体で、出資金は1億1,500万円となっています。個人も出資してくれている(金額の8割が個人)ので、個人にも還元することにし、教育ローンなどの融資を行っています。出資金は元本保証はしませんし、配当金も約束していません。情報はニュースレターや総会の議案書で公開しています。それから、法人・非法人を分けないでお貸ししています。融資条件は、会員であることと、地域社会への貢献度や採算性や継続性が担保されること、などです。審査委員には、金融機関の関係者はひとりもおらず、市民事業や会計関係のNPOの人びとが審査委員になっています。貸出の最高限度額は1,000万円です。これまでに約60件、2億7,000万円くらいの融資をしまして、現在、融資残高が1億2,000万円となっています。

出資金が1億1,500万円なのにどうして1億2,000万円貸せるのか、ということですが、出資金とともに借り入れ希望も伸びて、また、地域の中にも起業希望者が増えてきたので、彼らの活動が地域をよくするなら貸していこうという方針にしました。融資資金の借り入れを地域の金融機関に頼んでみたのですが、どこからも断られました。それで、仲間や生協に声をかけて、金利0.5%、合計5,300万円の借り入れを行いました。また、銀行になれれば、預金の形で市民からお金を集められるので、もっと事業を拡大していけると考えています。そのため、財務省の関東財務局と折衝を続けてきていますが、3年間に単年度黒字を達成できるような健全性が確保できること、必ず融資先があるということの証明をもらいたいなどいろんな困難な要件がありまして、すぐ達成できる状況ではありませんし、現在のような超低金利のなかで黒字達成は困難だと考えています。今後、実績を積み上げていきつつ、経済情勢が好転を見せたときが銀行にチャレンジするときかなと考えています。

《田中優氏コメント》
預金は元本保証しますが、我々がやる出資は元本保証してはいけないんです。元本保証すると言った途端に、出資法違反になります。もうひとつ気になるのは、金融庁が健全性を立証せよといったのは腹が立ちますね。銀行マンは、いま1,000万くらいの収入を得ています。銀行員数×1,000万とっているということは、彼らが利ざやで1%稼いでいるとしても、一人当たり10億円回してなければなりません。そこの行員数に10億円をかけたものが、その銀行にとっての健全な預金額になるはずですが、それを達成している銀行なんてあるはずがない。実は構造的には全部つぶれちゃうような構造でやっているんです。そんなところが私たちに健全性を求めるとは笑ってしまいますね。

 
[4)田中秀一郎氏(NPO夢バンク理事)]

私どもの夢バンクは現在設立中でございまして、みなさんの成功事例のように、いま貸付してるということはありません。制度は北海道の制度に似ていますね。2階建ての方式になっているのは一緒です。行政からの出資は実際に活動し始める来年度以降に予定されています。長野なので、知事・副知事とも前向きで状況としてはよいですね。事業組合に出資の要請をしていますがかなり協力的です。あと、貸し出しを早くしたいので、そろそろ予備審査に入りたいですね。そこは専門家がボランティアとして審査を行っていく予定です。あと、特徴としては、お金を貸し出すだけではなく「将来性」を意識している点が挙げられるかと思います。人材の紹介やNPO間のリソースの提供の促進、ネットワークの構築、情報の代替機能などを現在は考えています。
個人的には「NPOは出資を受けられない」というNPO法の欠陥に問題を感じています。他にも現在の非営利団体の仕組みは変な所がたくさんあって、しばりは多いし、やれない領域が多すぎると思います。例えば、がんじがらめの金融がいまの問題点です。2階建ての仕組みによって、銀行になることや新規参入を難しくしています。これからはその制度を変えていくことが必要となるでしょう。市民のために法人格を取り、市民のために活動する法人を作れるようにしていきたいですね。ちょうどいま、公益法人改革オンブズマンが現在の非営利制度を転換しようと取り組んでいます。

《田中優氏コメント》
サラ金規制法を使わざるを得ないという問題もありますよね。また、海外には市民が作る銀行が存在しますが、日本にはありません。だから郵貯に流れてしまうのだと思います。

 
[5)坪井眞里氏(東京コミュニティパワーバンク理事長)]

そもそものきっかけは、いまの世の中には主婦が再就職をする場がないんだということでした。それでは起業しようと思っても、今度はお金がありません。私たちはここに自分たちのイニシアチブをもちたいと考えました。これまで、仲間や専門家の助言を受けながら3年間かけて準備を進めてきました。
他団体と同じように、2階建ての仕組みで融資を行おうとしています。「コミュニティファンド・まち未来」と協力して、2つの組織で融資を行う感じですね。いまは事務所をもつことはできていないのだけれど、将来はぜひもちたいなぁと考えています。また、いまは組合員になった人だけに融資をする、いわば「閉ざされた組織」ですが、一般の市民が事業内容に理解をして協力していくシステムを作っていきたいです。「友だち融資団」のようなイメージですね。

《田中優氏コメント》
これまでのお話を伺ってきて、出資型に共通する課題として(1)審査(2)法(3)返済があるのだなぁと思いました。


〔フロアからの質疑応答〕
   
Q, 勉強不足で恐縮ですが、私募債という形で資金を調達することはできないのですか?
  田中秀一郎氏:
そもそも債権というのは他人資本であり、NPO法人ではそれはできません。債券を発行するというのは、有価証券法の規制にもひっかかってしまうので、いまは関係ないのかなと思います。
  フロア参加者〜浜辺哲也氏(公益法人改革オンブズマン)〜:
実は公益法人改革案の提出期限が今年の3月末になっています。今日のお話を伺って、出資型非営利法人に関しても、そこに盛り込んでもいいのかなぁと思いました。現状では中間法人というものもあるが、今後「オルタナティブ研究所」という別組織で考えていきたいです。
  田中優氏:
現在のお金の集め方ですが、簡単に言うと3つで、自分たちで出資を集めるか、融資を受けるか、寄付金をもらうか、どれをどう組み合わせて自分たちがやりたいことにつなげていくかです。法律にひっかからないために、どのようなときにどうするかを田中秀一郎さんに聞くのが一番よいのでは?
   
Q, 出資型には、お金が使われる先を明確にして市民からお金を集める、というやり方がありますが、それは出資型のひとつの形態としてお金集めやすい上に実績があります。先にプロジェクトを見せてお金を集めるというやり方に、何かご意見があればお願いします。
  田中優氏:
青森でも、北海道の「はまかぜちゃん」でもケースがあります。やはり先にプロジェクトを行います。はまかぜちゃんは3億円かかりまして、助成金がそのうちの半分を賄って、残りの1億5,000万円は市民が出資するというやり方で行われました。青森のケースは、東京から出資した場合は配当率1%、青森県民は2%、というように、地域の人を厚遇するという仕組みを作っていましたが、それは実に正しいことです。アドホック(品物があったときにやる)な仕組みとして、とてもいいですね。ただ、経常的に回していくときに、お金が常に集まるとは限らないので(市民風車などのプロジェクトがお金集めに頭を悩ませている)、この点が厳しいかもしれません。
  フロア参加者:
市民風車一本だと、お金を求めない時期が極端に集中してしまいます。この場合は風車だけですが、同じように、意義のあるものを10とか20とかプランニングする人がいたら、それを還元して、投資信託の形で設定することを考える、と新聞社の人が話していました。運用の話を出した理由ですが、投資クラブを作る条件が厳しいのと、パッケージ型のものであれば、コストとお金が大丈夫ですが、そこがお金の窓口になって、NPOバンクに貸付をするとかできますが、その前段階で、金融庁の壁が厚いというのがあるのですね。
  杉岡氏:
出資型のエコ貯金についていろいろ考えてみると、出資を返してほしいときには返すことを想定していますが、出資者に対して配当を出せることは期待できないので、寄付感覚でお金を集められるようなキャンペーンを打てないと、詐欺?をやっているような感じがあります。一般の企業に行って出資してほしいと言えばリターンのないものに企業が出資をすることはありえないという論法でだいたい断られます。見返りなき出資という言葉を強調したり、元本保証しないということを強調する必要があるというのは、資金をあつめる立場からすると制約が多いと思います。寄付感覚で出資をしてもらって配当は何もない、というように思ってもらう方がよいかもしれません。あと、今年の7月16,17日に北海道でバンクフォーラムを、出資型を中心にして行いますので、HPに注目していてください。
 

横沢氏:
私のところも出資金の積み立てなんかをやってきて、利用者が出資者だったのでなかなか進まなかったのですが、ここ4、5年になって、認知されたことで思いが通じてきて、急激に出資金が伸びています。法人の信用度が上がったと、事業をやってみて実感しています。金子勝氏の話を聞いてヒントを得ました。私もフォーラムを企画して、お金の流れを変えるような活動を展開してみたいと思います。

  坪井氏:
NPO法人のことがいろいろ言われていたようですが、NPOとかワーカーズコレクティブのような共同じゃないと行政も厳しいのではないか、という世の中になってきていると思います。仲間たちが行政に期待されていて、もっと事業展開してほしいと言われます。私たちが彼らにきちんと融資して、彼らが連帯できるような事業をやって地域を活性化してくれれば、と思います。これからも出資金を集めなければいけませんが、出資して責任をもつということは、大事なんじゃないかなと思います。
  向田氏:
私たちの特徴として、96%が女性からの出資でしたが、最近になって男性からの出資も増え始めたことがあげられます。団塊世代の男性が妻から言われて、10口とか大きい額を出資してくれるようになりました。家庭の中で刺激しあうのも大事なことだな、と思います。男性にも、もっと希望をもって働きかけたいですね。私たちの課題は、融資した先が事業計画通りうまくいっているかうまくいっていない場合、そこへの支援をどういった形でやるかということです。関連団体でワーカーズコレクティブ連合会というのがあります。そこに福祉部会だのいろいろあって、かなりの情報が入るのですが、5年を限度に貸し出すと、2年くらいでその事業をやめざるをえない場合があります。彼らにどのように助言していくかが私たちの課題です。
  田中優氏:
我々が口出ししすぎると、返済してもらうときに困ってしまう。そこが相反する部分です。一方、行政側は、NPOには全部指導しないとだめだ、という言い方をしている。これも偏見だと思いますし、そこのバランスが重要です。
  田中秀一郎氏:
その辺のバランスは長野県に関して言えば、かなり緩いですね。NPO夢バンクとしては、これから始めるところなので、暖かく見守っていただきたいのと、長野関係者に出資を呼びかけてもらいたいです。制度については、NPO法人格が危機的な状況にあることと、あと、正しい市民社会を目指すには、今のNPO法では不十分だと思うので、もっと形にしていきたいと思います。

〔終わりの挨拶〕

《田中優氏より》
みなさん、今日の話はいかがでしたか?作れそう、作りたい、と思われた方が多くいればと有益だと思います。最後に2つよい話を紹介したいと思います。7年以上使っている冷蔵庫をお持ちの方、この7年で85%省エネが進んだおかげで、いま買い替えると5年間で冷蔵庫のお金が取り戻せる上、本人は一銭も払わずに、安くなった電気料金を払うだけで、完全に省エネ製品に取り替えられます。二酸化炭素排出量も電気料金も減ります。このようなことは、金融の仕組みと環境の仕組みをドッキングさせると可能なので、各地域でぜひやってほしいですね。ではいったいどこに資金があるのかということについてですが、マンションの管理資金は、5億円から10億円を超えるくらいのお金を貯めています。これはみな手つかずの状態なので、視野のなかに入れて話を進めていってはいかがでしょうか。

エコ貯金フォーラム報告書トップへ戻る

↑ページトップへ

Copyright (C) 2005 A SEED JAPAN. All Rights Reserved.