キャンペーン概要
プロジェクト
分析レポート

リオ-10リンク集
ボランティア募集
ミーティング・勉強会
環境問題を知る本

Johannesburg Summit 2002  

我らはどこへ向かう?-最終準備会合でのNGOの動き-

「ヨハネスブルクサミットの成果はいったいどういったものになるのか?」
世界のNGOはバリで開かれた最終準備会合の成り行きに注目していた。NGOの動きは大きく分けて三つに分けられる。準備会合の最初の3日間に行われたマルチステイクホルダー・ダイアログ(NGOとの意見交換)をつかって、政府と対話すること。合意文書をまとめるためのテキスト交渉に対してのロビー活動。さらに、メディアを使って世論を盛り上げるためのダイレクトアクションだ。NGOが何を求め、どんな戦略で行動を起こしていったのか?その動きを追ってみよう。

■マルチステイクホルダー・ダイアログの意義とは?
 政府とNGOの対話の場であるマルチステイクホルダー・ダイア ログにおける論点は、「多国籍企業の国際的な行動ルールが必要かどうか?」ということと、「水道事業などの公共サービスの民営化を進めていくべきかどうか?」ということであった。国際NGOや女性、先住民、農民、青年などのグループの代表者は、企業責任に関する国際的なルールの必要性を求め、過度な公共サービスの民営化に対する危惧を示した。一方産業NGOの代表者は、水の民営化や海外直接投資の重要性を強調していた。これに対し南アフリカ政府は企業責任のルールは十分できていると発言し、アメリカ政府はひたすらパートナーシップの重要性を強調するのみであった。

 対話という 名目でありながら、NGOの発言に真剣に耳を傾ける政府代表は少ないように思えた。議論も平行線で、真の対話が成り立っていたかどうかは疑わしい。毎朝開かれるNGOの共有ミーティングでは、「名ばかりの対話」だったのではないかという疑問の声もあがっていた。北欧諸国などこの対話の結果を重視する政府もあったが、日本を含めた多くの政府は消極的な姿勢を示していた。

■ダイレクトアクション実施中!!
 会合日程の前半が終了した頃、NGO内には一向に進展しない交渉と日に日に後退してゆく文書にいらだっていた。NGOによる各政府へのロビー活動が盛んに行われていたが、閣僚会議が開かれる頃には、メディアを意識したダイレクトアクション(デモやパフォーマンス)が数多く見られるようになった。NGOは、ダイレクトアクションがメディアを通じて世界に発信されるこ とで交渉に影響を与えることを狙っていた。

 青年のグループは貧困問題の前進を訴えて、ハンガーストライキを実施した。グリーンピースはバリ島へ船で乗りつけ、アメリカ、カナダ、オーストラリアをイメージした怪物をつくり、「バリ島に魔物が上陸する」というストーリーの寸劇アクションを行った。また、グリーンピースとFoE(地球の友)といった国際NGOは、多国籍企業の無責任な行動によって破壊された人々の生活や環境などの写真を会議場入り口に並べたダイレクトアクションを行った。会議場外ではインドネシアの人々が数百人集まり、連日「国際金融機関や多国籍企業の無責任な行動」に対するデモを行った。

 インドネシアの英字新聞であるジャカルポストは、連日会議場内外で繰り広げられるダイレクトアクションを記事にした。しかし日本のメディアは政府交渉の論点を記事にするだけで、NGOの動きについてはほとんど書かれなかった。

■ヨハネスブルクはステップでしかないのか?
 交渉は平行線のままタイムオーバーとなった。最終的に文書全体の約60%しか合意されず、一番重要な貿易と資金の項目はほとんど未合意のままだ。NGOのニュースレターには、「地球サミットから大幅に後退した」「私たちはどこへゆけばよいのか?」と落胆ぶりを報じた。

 多くのNGOはサミットに多くを期待をしていないように思えた。多くのNGOが、二〇〇三年三月に行われる第三回世界水フォーラムや二〇〇三年九月にメキシコで行われるWTO閣僚会議にむけたステップとしてヨハネスブルクサミットをアピールの場と考えているようだ。しかし、今回合意されなかったことによって、ヨハネスブルクサミットで多少好転する可能性もある。

 ヨハネスブルクでのダイレクトアクションの情報も続々と入ってきている。FoEやコーポレートウォッチ、グランドワーク(南アフリカのNGO)が協力して八月三一日に、「グリーンオスカー賞」という企画を行う。これはもっとも環境に良いイメージを創っている(演技している)多国籍企業に贈る賞で、俳優に贈られるオスカー賞にかけて開かれる企画である。また、同じ日に、A SEED EUROPEが企業化する国連に対する世界一斉行動デーとしてヨーロッパ各地でダイレクトアクションを行うことを計画している。A SEED JAPANもこれらの動きに連携していく予定だ。(文責:三本裕子)

この企画は国際青年環境NGO、A SEED JAPANによって運営されています。
Copyright(C) 2001 A SEED JAPAN. All Rights Reserved.