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ポジションペーパー 2003年3月12日
国際青年環境NGO A SEED JAPAN
奪われし水キャンペーン 

国際金融機関の融資条件から水道サービスの民営化を除外することを求める!

世界中で導入されている水道サービスの民営化により、特に発展途上国では水道料金の高騰、水質の悪化、サービスの悪化などが起きている。その結果、特に貧困層の人々にとって、経済的負担は増大し、衛生状態は悪化し、生きるために最低限の水を確保することすら困難となった。基本的人権である安全な水へのアクセスを奪うこの政策を推進しているのは、アジア開発銀行(以下ADB)、世界銀行、国際通貨基金(以下IMF)などの国際金融機関である。

これらの国際金融機関は、発展途上国に対して、公共の水道サービスを廃止して欧米系の巨大水企業と契約するよう、融資や技術援助との引き換え条件として圧力をかけている。2001年に、世界銀行の水と衛生プロジェクト融資の50%が水道サービスの民営化を要求し、そのうち80%はフルコスト・リカバリー(水道敷設・運営に関るコストを利用者が払うようにすることを推進する政策)を要求している。

ADBは水政策文書である「Water for all」の中で「コスト・リカバリーは、不足する水資源を経済的な手法によって分配を刺激し、水の保存及び環境保護を促進し、一層投資のための収益を増やす」とし、民間投資を促す政策をとっている。しかし、フルコスト・リカバリーは民営化への前提条件を整えることにつながっている。なぜなら、民間企業は、水道運営に関るコストをカバーし、かつ利益を得るための十分な収入を水道料金でまかなわなければ、水道経営に参入できないからである。また、IMFは、2000年における12カ国との貸付け協定において、水道サービスの民営化、あるいはその前提となるフルコストリカバリーを義務付けている。

一方、3月5日に国連が発表した「世界水発展報告書」においては、「水道事業において民間セクターが関与することは必須条件ではなく、財政的な触媒として考えるべきである」と水道サービスの民営化に対して、慎重な立場を表明している。

水とは生存に不可欠であり代替物のきかない自然資源である。その水の供給を利益中心の民間企業に委託すべきではなく、国際金融機関は水道サービスの民営化政策を推進すべきではない。
私たちA SEED JAPANは、水道サービスの民営化を推進する国際金融機関に対し、以下のことを求める。
1. 世界銀行、アジア開発銀行などの開発金融機関は、政策文書において、水道の民営化を推進しないことを明確にし、また発展途上国に対し、融資や技術援助を通した民営化の推進を行わないこと。

2. 国際通貨基金(IMF)は水道サービスの民営化やその前提となるフルコストリカバリーの制度の導入を融資条件としないこと。

3. 各国際機関と各国政府は、これらの国際金融機関の出資国として、国際金融機関の行動を監視し、市民に対して積極的に情報公開を行うこと。

この件に関するお問い合わせはA SEED JAPAN(担当;三本、鈴木)まで。

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