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2004年10月16日(土)
エコ就職シンポジウム進行録@高井戸区民センター

開会のあいさつ:
宮腰義仁(A SEED JAPAN2004年度代表)
 みなさん、おはようございます。突然ですが、この中でエコ就職したい方はどのくらいいらっしゃいますか。とりあえず今、職がなくて就職したい方はいらっしゃいますか。この中で学生の方はいらっしゃいますか。A SEED JAPANのボランティアは7割が学生で3割が社会人で、現在約1,300名の会員がいる団体です。1992年の地球サミットをきっかけに始まった団体で、食や農業、森林、ごみゼロナビゲーションなど、いろいろな活動を行っています。まず、この団体がエコ就職シンポジウムを開催した理由を説明します。環境問題を解決するためには何をしますか。いろいろあると思いますが、まずエコなものを買うという行動が考えられる。そうすると環境に良い方にお金が流れる。しかし、「それ以前にどのようにお金を得ているかを考えましょう」というのが「エコ就職を考えよう」ということです。自分が環境によいことをしたいのに、環境破壊をしている企業に勤めていたら、そのお金自体も環境破壊によって得られることになるので、本末転倒になってします。それを根本から考えてみようと言うのがA SEED JAPANが考える「エコ就職」という考え方です。
 今日は1時間半しかありませんが、パネリストからいろいろなきっかけを教えてくださると思います。私もそれをすごく期待しています。いろいろなきっかけがあると思うのですが、今日の主役はパネリストの方ではなく、みなさんです。今日は参加者もパネリストもスタッフも合わせて、環境のことについて考え、良い方向に変えていきたいと思います。


講演「環境や人権を守る『エコ就職』とは」:
物江陽子氏株式会社クレアン
 みなさん、こんにちは。クレアンの物江と申します。私からは「エコ就職」のご説明をさせていただきます。私がエコ就職を説明する経緯ですが、私は今年の3月まで学生で、また、A SEED JAPANで理事として活動していました。A SEED JAPANでは、エコ就職について取り組んできました。そして、この春から働き出して、エコ就職を実践しています。この私の経験をみなさんと共有したいと思っております。
 エコ就職とは、社会を変える働き方であると思います。
 エコ就職とは、環境就職とは違うと考えております。今までの就職は、会社で働きながら知らないうちに人権侵害や環境問題に加担してしまうことがあったのではないかと思います。自分の仕事が社会や環境にどのような影響を与えているかを自覚して、その上で社会や環境に貢献する働き方を選ぶのがエコ就職と考えます。良い社会を作る働き方がエコ就職だと思います。
 社会的責任のある投資(SRI)という考え方がいま広がっていますが、みなさんはご存知ですか。投資の際にそのリターンのみに注目するのではなく、投資の環境・社会への影響を考えて投資するのがSRIです。同じように、就職と社会とのつながりを考え、社会に貢献する働き方がエコ就職の働き方です。
 A SEED JAPANでは、「エコ就職ナビ」というウェブサイトを作成していました。そこでは、商社やエネルギー会社が行っているプロジェクトの社会への影響を調べました。プラスの面もあればマイナスな面もありましたが、こういった情報は就職活動中にはなかなか手に入れにくいものだと思います。
 また、エコ就職をしてきた方にインタビューをして、どのような経緯で、社会・環境に貢献する仕事に就いたのかを聞いていました。
 エコ就職は、入る会社を選ぶことではないと思います。NGOでも大企業でもできることだと思います。ここではエコ就職としてどのような可能性があるのかを説明したいと思います。
 「働く」ということを考えたとき、分類として、プライベート、パブリック、NPO/NGO、個人があると思います。プライベートとは、私企業で働くなどが含まれます。パブリックとは、公共機関で働く、病院で働くなどが含まれます。NPO/NGOで働くことは、最近その数が伸びています。個人は、個人で働くということで、農業、自営業、フリーランスなどが含まれます。
 プライベート、企業で働くということですが、企業で働く中で、どのようなエコ就職が考えられるでしょうか。「社会企業家」という言葉があります。これは、利益を充填するのではなく、企業を利用しながら社会・環境に貢献する方法です。メディアで社会問題を伝えるという方法も考えられます。大企業の環境部やCSR担当部署で働くことも考えられます。
 パブリック、行政で働くということですが、議会で政策策定に関わる、学校で人を育てる、地方自治体で住民の生活向上に関わる、医療や福祉の分野で関わるといったことも考えられます。
 NGO/NPOでは、環境・人権・開発などのNGOで働くことや、まちづくりNPOで働くといったことが考えられます。
 個人で働くということには、農業、林業で働くということ、デザイナーやミュージシャンならその表現力で環境問題を提起することに生かすということが考えられます。
 大きい話になりますが、なぜエコ就職が重要かと考えると、ひとつは現在、経済のグローバル化が広がっていることが挙げられます。世界の経済セクター(企業・国家)のトップ100のうち、50以上が企業になっていて、企業の影響力が非常に強まっています。その中で環境問題・貧困問題は拡大しています。
 日本もグローバル化の中で、国内の産業の空洞化が広がってきて、若者の就職が難しくなってきています。若者のうち2割ぐらいがフリーターなっているという話も聞きます。
 一生同じ会社に勤めること、何も考えないで普通に就職して、というのがなかなか難しくなってきています。所得は高いが自由時間が少ない人と、所得は低いが自由時間が多い人の二極化が考えられます。普通に就職して生計を立てていくのが難しいのであれば、なぜ働くのかという目的が大切ではないかと考えます。組織に属して安心する時代が終わったのであれば、働く目的・意義を深く考えることが大切だと思います。
 以上がエコ就職の考え方ですが、私の経験を話させていただきたいと思います。配布資料の中に「人生を変えたこの一冊」がありますが、私の経歴はそちらに記載されています。大学を卒業後、何をしたいのかわからずに2年ぐらいフリーターをしていました。そのときに環境問題に取り組みたいと思い、大学院に戻りました。そして、昨年3月に、環境系ベンチャーであるクレアンという会社に就職しました。
 ではクレアンは何を行っているか会社かをご説明します。クレアンは社会的企業、テーマを持った企業になると思います。会社のテーマは、企業の社会的責任のコミュニケーションです。企業と社会のコミュニケーションを促進する。具体的には、企業の環境レポートやCSRレポートを出している企業は増えていますが、こういったレポートを製作する企画製作会社です。企業にとってこのレポートは、環境問題解決のための目標の達成状況を知る、マネジメントのツールになっています。また、社員教育の教材になっています。市民から見ると、企業の環境活動をこのレポートを用いて知ることができます。こういったレポートが出てきたのはここ最近のことで、10年前はまったくありませんでした。現在は、CSRがISO化されるといわれていますが、こういった環境レポートを出している企業がかなり増えてきています。この増加によって、企業と社会のコミュニケーションが緊密になってきていると考えられます。このレポートを通じて、企業の環境への態度を変える一助になればよいと考え、この仕事を志望しました。仕事の詳細は、パネルディスカッションの中でご説明します。以上で終わらせていただきます。


パネルディスカッション「『エコ就職』の可能性」:前半部
青木将幸氏有限会社ワークショップ・ミュー):
 「有限会社ワークショップ・ミュー」という企画・環境に関するイベントを行う会社で働いている青木将幸と申します。私も学生時代、環境団体に関わりながら、環境就職したいと思っていました。現在やっと、環境を守る仕事をしながら、生計を立てられるようになりました。ここにいるみなさんにもきっかけや考えをうまく伝えていきたいと思います。
 エコ就職した方には、ここにいるクレアンの物江さんのように、環境によい会社に就職する方、また、自分が行いたい活動が社会にないため、会社を起業した方もいらっしゃいます。まずは1人目、現在「ヘンプレボ」という会社を興し、経営されている赤星さんに自己紹介をしていただきます。

赤星栄志氏Hemp Revo.Inc代表、 akahoshi@hemp-revo.net ):
 株式会社ヘンプレボは大麻で革命を起こそうという会社です。テーマは「地下資源から地上資源の時代へ」です。もともと大学で農学部へ通っていたこともあり、農を切り口にした社会問題への取り組みを進めています。現在バイオマス(生物資源)をもっと産業化しようという切り口、農業のある街づくり、最後に自分個人も興味があることですが、農業のあるライフスタイル、この三つを切り口から社会問題に取り組んでいきたいと思っていました。私が、現在最も問題になっているものを考え抜いた結果が次の通りです。
 現在、エネルギーや資源を地下資源に頼っているため、戦争や文化が立ち行かなくなる、また資源紛争が起こるのではないでしょうか。このようにエネルギー資源を地下資源に頼る時代はやめた方がよいと思われます。では、今後どのような資源に頼っていくべきでしょうか。それは地上資源だと思います。バイオマス(草や木)、農林水産系の廃棄物(生ごみなど)を活用することが、21世紀の循環型社会を作り、文化の多様性を促進し、平和をもたらすのではないかと考えます。
 バイオマスの中で、私が取り扱っている麻は草木性植物に分類されます。麻は英語で「ヘンプ」といわれ、日本語で「大麻」といわれます。4月に種をまくと、3〜4mぐらいまで成長し、非常に成長性の高い植物です。大麻と聞くとマリファナのイメージがありますが、主に繊維になる大麻と薬用の大麻があります。私が扱っているのは繊維型の大麻です。大麻取締法では、茎と種は取り扱ってもかまいません。ただし、葉と花は取り扱いを禁止されています。
 伝統的に、日本で麻は織物や衣服、神技などいろいろなものに使われてきました。
 大麻の栽培解禁国と禁止国を見ると、世界が見えてきます。ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアは大麻を解禁しています。社会主義の国のロシア、ルーマニア、北朝鮮はもともと栽培していました。日本・アメリカはいまだに栽培を禁止しています。
 ヘンプがなぜ注目されている理由は、環境負荷が少なく、栽培管理が容易であること、また利用価値が高いことがあります。大麻より2万5千種類の工業製品を生産することができます。例えば、コンビニエンスストアに並んでいる商品数は3千種類です。麻というのは、この中で麻のつく名前の方がいるかもしれませんが、縄文時代から日本で栽培されてきた作物です。
 最近行っていることは、伝統工芸品の製作や大麻ビールの商品開発、麻の実の料理教室を行っています。きっかけは「ヘンプが分かる55の質問」という本です。本を作ってからこのビジネスに関わり出しました。あと、村おこしや街づくりに関わっています。
 伝統的に麻は、七味唐辛子に使われています。神社の鈴の紐が麻の繊維でできています。伝統工芸のボランティアも行っています。
 石油が生成する時間は2億年ぐらいかかってしまう。それをペットボトルなどで5〜30分で捨ててしまいます。2億年かかってできる資源を5分で捨てる文明は止めましょう。木や草、木は7年から60年ですが、麻なら半年でできてします。このような資源を活用する社会を作りたい。これを実現するためにNGOでは迫力不足なので、会社を興して、実現したいと思っています。会社を興してから3年たって、年間売り上げが2千万から3千万円の会社になっています。

青木氏: ありがとうございます。自分の理想を達成するために会社を興した赤星さんですが、学校を卒業してから会社を設立するまで、何年ぐらいあって何をしていたのですか。
 
赤星氏: 6年です。農学部を卒業した後、2年近く有機農業をしている農家で働き、その後、大企業で働きたくなり、富士通で働きました。そのあと会社を設立しました。
 
青木氏: ありがとうございます。次のパネリストは星野智子さんです。星野さんは環境パートナーシップオフィスで働いておられます。企業と行政、NPOをうまく結びつける仕事だと思いますが、星野さんは普段どのような仕事をされているのか教えてください。

星野智子氏環境パートナーシップオフィス):
 私がいま働いているのは「環境パートナーシップオフィス」というところですが、紹介屋さんのような所ではありません。いろいろなセクターの方が、集ったり、勉強できる場を作ったりしています。それぞれのセクターには、ノウハウや資金など弱いところがあるので、協力し合って補完する仕事をしています。特に私はNPO支援ということで、法律についての勉強セミナーなどの企画をしたりしています。
 もともとの経緯は、92年の地球サミットでいろいろな取り決めができました。その取り決めの中で、パートナーシップや参加型の政策プロセスが大事であるということが決められました。96年になり環境基本計画を作成し、その中で環境パートナーシップを掲げられました。これにより、いろいろなセクターの人間が一緒になって環境問題を考えましょうという機運になり、それと共に設立されたのが、環境パートナーシップオフィスです。また、環境パートナーシップオフィスは情報センターで、地球環境パートナーシッププラザが国連大学の一階にあります。ここには、環境図書や環境報告書が多く展示されています。
 パートナーシップとは、補完原理が働く関係であると考えています。そのためには、それぞれのセクターの得意な点を結びつける組織が必要だと考えます。しかしながら、インターミディアリー(関係をつなげる団体)がまだまだ社会的に認められていないことが考えられます。この活動を仕事にしていく、キャリアにしていくことがいま私のしていることです。

青木氏: どのようなキャリアパスを通ってきたのでしょうか。
 
星野氏: 大学卒業後はNGOで働いていたのですが、そこの先輩が環境パートナーシップオフィスの設立に関わりました。自分がしたい仕事だったので、先輩に積極的にアプローチをした結果、短期留学後、出向という形で、環境パートナーシップオフィスにポジションを得ました。最終的には完全、パートナーシップオフィスに移転しました。
 
青木氏: 最後に樹恩ネットワークの鹿住さんを紹介しようと思います。今までの企業で働いている方、事業を起こした方、NPOで働いている方とは、また違った側面を見ることができると思います。

鹿住貴之氏JUON NETWORK):
 樹恩ネットワークの鹿住と申します。樹恩ネットワークは、設立して6年になる大学生協が呼びかけをしてできた団体です。活動内容は、過疎地域と都市部の人間を結びつけながら、過疎化や過密化がもたらしている問題を解決しようと活動しています。例えば、過疎によって、地域芸能や文化が廃れてしまうことをやめようとか、また、過疎化によって日本の森林を守る人が減ってきていますが、この森林によって恩恵を受けている都市の人たちが川上の森に行って森林を守るという森林ボランティア活動を中心に行っています。
 過疎や過密が引き起こしている問題は、都市から見ると、ヒートアイランド現象があります。都市というのは大消費地であり、外部から物を持ってきて、ごみの問題が出てきています。つまり、物質の循環が断ち切られている状態です。
 では、山村を見ると、日本の原風景である里山、これは人家の周りにある山のことであり、日本の誇るべき文化です。昔、里山では使用するエネルギーを化石燃料ではなく、木炭や薪から得ていました。それと同時に、周りの森を管理し、循環型社会を形成していました。昔に戻れということは非常に難しいので、都市と山村の人が知恵を出し合って、新しい形で持続可能な社会を作ろうとしているのが、樹恩ネットワークです。
 具体的にはお渡しした資料に詳しく書かれていますが、森林ボランティアの体験や大学生協で国産伐採材の割り箸を使用していただいたり、その割り箸の作成を身障者の方にしていただいたりしています。
 私自体は、大学時代に福祉関係のボランティアをしていました。阪神淡路大震災の時に大学生協でボランティアの担当が必要だということになり、私が東京でボランティアのネットワークを作っていた私に声がかかりました。さらに、大学生協で樹恩ネットワークを立ち上げようというときに手助けしたのがきっかけです。

青木氏: いろいろな人生があります。エコ就職にもいろいろな可能性があります。具体的な仕事の進め方や、休日、年収などについて聞いていきたいと思います。


パパネルディスカッション「『エコ就職』の可能性」:後半部
青木氏: ご質問ありがとうございました。いろいろおもしろい質問が来ています。事前にも来た質問も合わせ、回答していただきます。多かった質問は年収・やりがいについて質問が来ています。まず年収とその納得度を紙に書いて発表していただきます。では一斉に示していただけますか。
 
鹿住氏: (年収400万円、納得度50〜100%)
仕事を樹恩ネットワークだけでは生活できないので、他に2つほど仕事をしています。給料は大学生協からいただいています。他のNPOの方よりかは多くもらっています。それが300万円ぐらい。また、学生時代から車椅子の方の介護で泊り込みなどをしています。
 
星野氏: (年収400万円弱、納得度70%)
まだ初めて1年も経ってないので、いくらいただけるかわかりませんが、+αで公演や原稿を書いたりしています。
 
赤星氏: (年収360万円、納得度100%)
私の場合は単純で、30万円×12ヶ月です。会社は自分の行いたいことにすべてお金を回しています。360万円も額面だけで、幾分かやりたいことにお金を回しています。
 
物江氏: (年収280万円、納得度85%)
私は普通にサラリーマンだと思いますが、この中では一番年収が低いですね。これは、一番若年だからだと思います。月20万円です。満足度は85%で、これにはメリット・デメリットがあります
 
青木氏: 物江さんは、エコ就職にどのようなメリット、デメリットを感じていますか。
 
物江氏: メリットは、自分が興味を持っているテーマを仕事にできる。また、同僚からも刺激を受けることができます。また、社会にぜひ発信したいものを発信することができます。デメリットは労働時間が長い。NPOで働きたいということはあるのですが、なかなか時間をとることができません。収入も普通のサラリーマンよりは低いと思います。
 
青木氏: 企業に就職すると時間をとられてしまうということをよく聞きます。では次の質問は1ヶ月の仕事、ボランティア、プライベートの振り分けをお答えください。自分がどの程度仕事に時間をとられているのかを考えてみると、意外と仕事にとられている時間が長く、私自身も働き方を変えるようなことがありました。パネリストの方々はどのように思ってらっしゃるのでしょうか。
 
赤星氏: (仕事10:ボランティア10:プライベート10)
仕事もボランティアもプライベートもぐちゃぐちゃです。起業するということは、24時間働くということです。寝ているときも企画を考えています。食事の時は麻の実の料理の研究をしています。入浴時も麻からの石鹸の開発や化粧品の開発を考えています。麻の服を着て、着心地を確かめたりもしています。ボランティアというのは、麻の工芸品の職人さんをつなげるネットワークをしているのですが、これが仕事の中で話されたりすることもあります。
 
青木氏: これを楽しんでいるという感じでしょうか。
 
赤星氏: そうです。出張へ行けば、必ず温泉に入ります。
 
物江氏: (仕事21:ボランティア1:プライベート8)
私は、普通のサラリーマンなので、週休2日でプライベートが8。いま赤星さんの話を聞いていたら、仕事の中にボランティアの部分がかなり入っていることを感じました。会社であまりお金にならないけど出版しようということがあります。
 
青木氏: プライベートの8の過ごし方はどうですか。
 
物江氏: 寝ていることもあれば、本を読んでいたりします。
 
星野氏: (仕事18:ボランティア8:プライベート4)
自分の休む時間を軸に考えたら、休みが4日、その倍ぐらいボランティアを行っていると思い、残りが仕事になります。仕事が終わった夜にボランティアを行ったり、仕事ともボランティアともいえないこともしているので、このぐらいだと思います。
 
鹿住氏: (仕事26:ボランティア4:プライベート0〜1)
1ヶ月が31日のときは1日休めるような感じです。夕方までは仕事をして、夜はボランティアを行っていることが、週に3日〜4日ぐらいあります。だから365日中355日働いているような感じです。
 
青木氏: 仕事をやらされてやっているわけではなく、仕事を好きでやっている方は、仕事に熱中して仕事とプライベートの境が見えないぐらい働いている方もいます。個別の質問がいくつか来ていると思いますので、その回答をお願いします。
 
赤星氏: 農業法人にいたのに、大企業に行った経緯を説明します。1次産業、2次産業、3次産業すべて関わらないとベンチャー企業はできないと考えていました。大学卒業した後に農業に関わり、そのあと製造業に関わりました。有機農業をしている農家の方に、自分が好きな作物を見つけるよう言われました。メロンとかお米とかいろいろ考えたのですが、大麻という植物に魅力を感じ、これならいろいろなことができそうだと思いました。きっかけは「ヘンプのことが分かる55の質問」という本の出版だったのです。この本が1週間で1,000冊売れたので、これは会社を興すしかないと思い、会社を興しました。
 
青木氏: 本を作る段階では、会社を興すことを考えていたわけではないのですね。
 
赤星氏: 本を作る段階は全くのボランティアで、会社を興すことは考えていませんでした。まるっきり儲かるとは思っていませんでした。しかし、植物資源で社会を変えようという考えはずっと持っていました。本が売れたので、ちょうどよいきっかけになりました。
 
青木氏: 世間からの後押しがあったのですか。
 
赤星氏: ありましたね。一般的に大麻栽培している人は、ドレッドヘアをしている兄ちゃんが多いのですが、私はそうではないので怪しまれずに栽培できます(笑)。
 
青木氏: では物江さんお願いします。
 
物江氏: 「自分の信念と食い違うような仕事をするところがありますか」という質問ですが、答えから言うと、自分の信念と食い違いは出てきます。
 
青木氏: あやしいと思いながら仕事をする場面はあるのですね。
 
物江氏: あります。例えば、原子力発電所のポジティブな情報は出やすいが、ネガティブな部分はなかなか出てきません。そこで、私たちの仕事はネガティブな情報も出すように企業にプレッシャーをかけることだと思うのですが、なかなか難しい部分があると思います。その過程での、企業の方とのコミュニケーションが大事だと感じます。
 
青木氏: それでも、環境報告がなかった時期より企業は前に進んでいると思いますか。
 
物江氏: はい。そう思います。環境部も昔もなかったし、そういった情報を集めることもなかったので、そのようなことを行うようになっただけでも大きな前進だと思います。
 
青木氏: 環境と経済とどちらの影響が大きいのでしょうか。赤星さんはどう思いますか。
 
赤星氏: 環境が経済を支配する。大企業は環境が経済を支配するということはわかってきています。中小企業にはまだわかっていないところもあります。ついでに、起業するノウハウはどんなものがあるのかという質問ですが、私はいろいろなベンチャー企業のコンテストに応募しました。企画書を書いて、自分のアイデアがどこまで通用するか試してみました。その時代は、ITベンチャー全盛で、農業ベンチャーはほとんどいませんでした。そのため、農業ベンチャーという名前だけで、最終審査まで残ることがありました。時代はIT、優秀賞はとらせたくないから、特別賞などをもらったりしました。起業するためには、ベンチャーコンテストに応募するのが最も適していると思います。
 
青木氏: 自分の考えが社会に通用するのか、確認する場は必要だと思います。私は「自分のアイデアを100人に説明しろ」と言われました。100人がこれならやってみる価値があると言えば、それから起業するべきだと言われました。星野さんのところはどうですか。
 
星野氏: NPOの運営とか、NPOで働くにはどのような資格が必要なのかということですが、私はいい続けるとかコミュニケーション能力が必要だと思います。私がNPOに関わるきっかけですが、私は国際交流ボランティアを大学時代にしていました。そうすると日本が海外でおかしなことをやっていることが見えてきます。そこで、日本人としてどうするべきなのかと考えました。その中で、いろいろな人と話し合う中で、自分の目指す道が見えてきました。どんどん自分が考えや思いを人に伝えていくことが大切だと思います。始めから、エコ就職できる人は少ないと思います。しかし、人と伝える能力をつけることが非常に大切だと思いますし、そうすることで可能性が広がっていくと思います。
 
青木氏: 人に自分の思いを伝えることで、思いもしない人からチャンスを与えられることがあります。環境系の仕事はなかなか公募されていたりせず、アンテナを張り巡らせている人のところに、ネットワークを通じてくることがよくあります。自分でアンテナを広げることが必要だと思います。鹿住さんの方ではどのような質問が来ていますか。
 
鹿住氏: 林業系の話がきています。林業は木を切るため環境に良くないと思われる方が多いかもしれませんが、森というのは木の畑のような人工林と天然林があります。天然林の中でも、原生林という人間の手がまったく入っていない森と、二次林や里山など、人間が利用しながら育ててきた森があります。人工林は、拡大農林と言っていますが、戦後に木が必要だったので植林した林です。しかし、戦後、木が足りなかったので、外国から輸入しました。しかし、外国から輸入した木材の方が安いため、戦後植林した林が手入れされずほっとかれている。人が植林したものは手を入れていかないと利用できなくなってしまいます。循環型社会とは、赤星さんが言われていますが、化石燃料から自然燃料へ、木や草など中心とした生活に切り替わらなければならないと思います。
日本の森は、かなり荒れてきています。日本には森林組合があり、Iターンなどする方を私の知り合いでも知っています。森林組合にもよい所と悪い所がありますが、そういったところで働くのも一つの手だと思います。
また、NPOで働いていけるのか不安があるということですが、これは仕事として働いていくのか、それ以外の関わり方をするのかということを考えなければならない。私のところの会員になるとか、まあこれは冗談ですが、ボランティアとして関わるという方法もあると思います。
 
青木氏: 何か言い残したこととかありますか。赤星さんお願いします。
 
星野氏: 麻を見たいという話がたくさん来ています。麻の栽培には都道府県知事の免許が必要になります。滋賀県の麻の畑で栽培しています。これはホームページを見ていただけると詳しく分かります。1年を通して農業体験もできます。麻農家へのインターンなどもあります。
「社会を変える実感はありますか」ということですが、まだ少ししか感じていません。2年前にヘンプカープロジェクトとして北海道から沖縄まで12,500kmを麻の種子から作ったヘンプオイルを使って全国縦断をしました。それは、麻ビールや麻の工芸品を売ったお金で、その日の宿泊代を稼いでいました。長野県美麻村や北海道などの地域おこしで、麻を活用しています。「大麻=麻薬」という偏見はまだ強いですが、縄文時代から日本人の文化として栽培してきた麻、稲の栽培よりも古くから栽培されている麻をもう一度見直そうという動きが全国各地で起きています。そしていまその活動を支援しています。だいぶ「大麻=麻薬」という偏見は取れてきたと思います。
 
青木氏: エコ就職したい人へのアドバイス・メッセージをお願いします。
 
鹿住氏: エコ就職とNPO/NGOで働くというテーマで講演するとき、NPO/NGOで働くのは中小企業で働くのと同じだと言います。何をしたいのかという目的が最も重要なポイントです。国際貢献をしたいのであれば、JICAで働いたり、役所で働いたりという方法があります。環境という分野は非常に広い分野です、農業もあれば、原子力もあると思います。そういった中で、自分の目的を見つけていくということが大切だと思います。私たちの仕事としてNPO/NGOにボランティアで関わっていただける人を広げていくことがあります。実際、NPO/NGOの就職先は非常に狭き門です。ボランティアをしていないと就職できないということもあるので、ボランティアとして関わることが大切だと思います。
 
青木氏: 志を持って関わるというのが重要だと思います。私の友人もグリーンピースでボランティアとして関わっていく中で、この仕事は自分の一生をかけてもいいと思い、グリーンピースに就職しました。
 
鹿住氏: 僕は成り行きで就職したのですが。
 
青木氏: ご縁も大切かもしれませんね。
 
鹿住氏: その中でも目的を大切にして仕事をしています。
 
青木氏: 他の方はいかがですか。
 
星野氏: 提供するポジションがないとか、人材は必要だけどその予算がつかないとか、いうことがあります。ポジションを多くする、資金を集めるというのは私たちの課題です。そういったところに行く意思を持ち続けることや努力を絶えず行っていてください。絶えずそういった意思を持ち続けることで、いろいろな出会いがあったり、コネクションが広がったりすると思います。人とのつながりは資源だと思いますので、その資源が大きくなるように今後も努力してください。
 
赤星氏: 何もやりたいことがない人は大麻をやりましょう。大麻からは2万5千種類の製品を生み出すことができます。2万5千種類の雇用が生まれるはずです。本当に、私が出版した本から、新しいビジネス、ケータリングサービスやTシャツ販売などをしている人が増えています。これは、麻の持つメッセージ性、脱化石燃料に共感できる人がいたら、私のメールアドレスに連絡してください。何とかしたいと思います。私のビジネスモデルは、私が雇用するという関係ではありません。相手もベンチャーとして起業してもらうことになります。そして、ここのベンチャーが集まって個々のテーマを、大麻で何かするということで協力することになります。私のところに就職することはないですね。自分の一生を脱化石燃料にささげる意思がある方は、私のところまで連絡してください。
 
青木氏: 物江さんお願いします。
 
物江氏: 動くことが大切だと思います。何かやりたいことがあって動けば、助けてくれる人がいて、何とかなるものだと思います。この会社に就職するきっかけは、A SEED JAPANで「エコ就職ナビ」のために社長にインタビューしたことです。いろいろな人に会って、話しを聞いてみるということが、とても大事だと思います。
また、常に自分で批判的に見る目を持つことは重要だと思います。企業の宣伝力は大きいが、それを批判的に見て、就職活動をしながら、社会情報を集めるという意識を持ってもらいたいと思います。いろいろな企業が、学生がどのように見ているのかということを非常に気にしています。宣伝になりますが、棚のところに、松下電工の報告書を読む会のパンフレットがありますので、興味がある方はぜひ参加してください。
 
青木氏: 就職活動中に環境活動をすることができます。私も就職活動中に、企業が環境活動を行っていなかったら、環境活動を行っていない会社には就職できないと断って、環境活動を同時に行っていたこともありました。
パネリストの方からいくつかヒントをもらったと思います。自分のテーマを持ちましょう。次に、持ったら人に話す、外に発信することが大切です。赤星さんは、そこから独立する事が大事というお話がありました。物江さんからは批判的に見る目が大事であるということがありました。また、鹿住さんからはご縁も大事だという話がありました。10年後にはみなさんもエコ就職しているかもしれません。本日はどうもありがとうございました。


閉会のあいさつ:
木村真樹(A SEED JAPAN事務局長)
 みなさん、お疲れ様でした。少し感想を聞いてみたいと思います。
 参加者:アートとかデザインの仕事をしていて、環境につなげたいと思っていたのですが、良い刺激を得られました。
 エコ就職に対する需要を高まってきているという実感がありました。A SEED JAPANとしては、このような場をもっと提供していきたいと思います。シンポジウムより先というのは、みなさん次第ではないかと思います。A SEED JAPANのキャッチコピーとして「『答え』じゃない。『キッカケ』がここにある。」というのがあります。A SEED JAPANではきっかけを提供しています。最後に2つ、きっかけを提供します。
 1つ目は、11月27日に「エコ就職cafe」を行う予定です。オーガニックな食事をしながら赤星さんとお話をする会を行います。まだ、場所・時間が決まっていませんので、後日ご連絡いたします。
 2つ目のきっかけは、このイベントは「コミュニティ・ビッグバン・プロジェクト」というA SEED JAPANのプロジェクトが主となって開催しています。コミュニティ・ビッグバン・プロジェクトでは、お金の流れを変えていこうという考え方を地域に広げていこうというプロジェクトです。随時ボランティアを募集しているので、一緒に活動したい方はご連絡ください。
 本日は、これでシンポジウムを閉会させていただきます。パネリストの方々、ありがとうございました。


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