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2003年6月20日 

田んぼの草取りツアー in 新庄 『都市の想いと農村の想いの交流』

私は、今回のツアーが田んぼの草取り初体験でした。新庄滞在はたったの2日間、その中での草取りだったので、作業をした時間はほんの少しでした。しかも、私たちは大勢で一つの田んぼの草取りをしていたので、一人当たりの草取りは大した量ではなかったはずです。それにもかかわらず、かがんで草取りをしていると腰が痛くなりました。また、隣におしゃべりのできる仲間もいたので結構楽しみながら作業をしましたが、農家の方はいつも、あの広い田で腰をかがめて草取りしていると思うと、無農薬で作物を育てることはとても大変だと思いました。

 「農業って大変なんだろうけど、有機とか無農薬だとそれに輪をかけて大変なんだろうな」と思っていたことからこのツアーに参加しました。ですが、実際に自分の身体で作業をすると、なんとなく大変なんだろうなと思っていたのと本当に大変であることは違うのだということに気づかされます。今回のツアーで私が感じたこととしてここで伝えたいのですが、言葉で表せないんですよね、この違い。「実感」なんです。

えっ、「昨年はうまくいかずにコメが全滅してしまった」ですって!?
 ツアー中は農家の方と直接お話できる機会もありました。その中で、最近無農薬農法を始めたという方からこのお話を聞き、私はすっかり驚いてしまいました。無農薬農法がどれだけリスクを伴うか、ということを目の前に叩きつけられた気がしました。実際は、リスクを負いつつもこだわって無農薬のコメ作りをなさる農家の方もいれば、やりたくてもやれない農家の方もいるのです。
 新庄で無農薬農法をなさっている農家の方は、おいしくて安心・安全なものを作りたいということはもちろん、土地や水をずっと使えるようにとか、子や孫の代の健康とか、ずっと先まで農業を営み続けることを考えていらっしゃるとのこと!今の日本にもきっと、できることなら農薬を使わない農法を取り入れたい農家の方はたくさんいるのだろうな、と感じました。無農薬農法は、農薬を使用する集約農業よりも労働負担が大きくなったり収率が下がったり、そして最終的に経済的負担という形で、農家の方たちを「やりたいけどやれない」という状況に陥らせてしまうからです。

「労働力支援と言うよりも、ちゃんと買ってくれる人がいなけりゃ。」
 ツアーで聞いた中で、最も印象に残っている言葉です。私が今まで「農業は大変」と思っていたときには気づかなかったことですが、作ったものが消費者に適当な値段で買われなければ、農家の方の収入にはつながらないのです。生活できなければ無農薬農法などやりたくてもやれない、やはりそれが現実なのだろうと思いました。そして、
 「私が新庄まで行って、拙い手つきで農作業を手伝うことも大事かもしれないけれど、
  『買う』ことなら、新庄から帰った後もやれることではないか!」
と、ツアーの帰りには意気込んでいたのですが、今の私がすぐに変わることはできないことに気づきました。
 私は両親と一緒に生活している学生で、主婦のようにスーパーで野菜を選んで買うということはほとんどなく、買い物で「気をつけて、考えて」選ぶことはあまり実行できません。それならば、生の野菜ではない形でなら実行できるかな、と考えてみました。
 たとえば、外で食事をするとき。知っている店の中で、有機栽培や無農薬栽培の食材を使っている店がいくつぐらいあるでしょうか。私は片手で数えておつりが来るくらいしか思いつきません。選ぶ選択肢が少ないということです。そんなお店はたいてい、一般のお店に比べて少し値段が高めで、「フェアトレード(※1)」の素材を使用しています、などと注意書きがあったりします。

 「普通」のお店に比べて、その「高め」のお値段の分が生産者につながるのだ、と頭ではわかっているつもりでも、財布の中身とにらめっこして、つい「また今度にしようかな」ということになりがちです…。
 一般に、有機栽培や無農薬栽培の野菜はそうでない野菜にくらべて高値のようです。その多くは、フェアトレードというより「有機」「無農薬」といった「付加価値」で値段が高いように感じられます。最近はやりの健康志向のおかげか、コンビニなどでも減農薬米使用のおにぎりなどもよく見かけますが、そういうものは直感的に「うさんくさい」と思ってしまうのですよね。どの程度「減農薬」なのかわからないし、ただの流行に乗せた謳い文句のようにも思えるし。そのような有機や減農薬を謳っている商品を見る度に、ツアーを思い出すとともに、「これを買うことが、あの新庄の農家の方々をはじめとする、がんばっている生産者につながるのだろうか?」と考えてしまうのです。
 同じようなものに見えるのに「うさんくさい」と思えてしまう商品はたくさんあるけれど、その中で、「フェアトレード」な商品はなんとなく違う感じがする。その違いはどこにあるのだろうと考えてみたら、後者では「つながり」を感じられるからかな、ということに気づきました。

 有機や減農薬というけど「うさんくさい」食品と、
 「フェアトレード」な分ちょっと高いが、つながりのある食品。
 「いいものを作りたい、でも有機栽培や減・無農薬栽培はやりたくてもやれない」
 という農家の方と、
 「いいものを買いたい、でも現状では『気をつけて、考えて』買いたくても買えない」
 と思っている、私を含めた都市の消費者たち。

 それらがもっとつながったら、そのつながりが広がったら、みんなが良いほうに変わっていけるような気がしてなりません。今回のツアーや、ツアーで知った「トラスト(※2)」は、そのような「つながり」を感じられる活動の一つなんだな〜と思っています。新庄とのつながることのできる「ぷっちトラスト」に参加して、私も農業を応援するぞ!

 またこのツアーがあったら、ぜひ参加しようと思っています。次に新庄を訪ねたときには今回とは違う発見があるはずですし、今回のたった2日間だけでは、観光ツアーに行ったのとあまり変わらないような気がするからです。農業も時間をかけてやるものなのですから、何か取り組みたいと思ったら、意義あることをするにはこちらもそれなりに時間をかけて取り組んでいかなくては、ね。

(文責:香田詩織)

【語注】
※1:「フェアトレード」
→商品の価値に見合った適正価格で買い取り、生産者の持続的な生産活動と生活向上を支援するような取引の仕方のこと。
 http://www.wakachiai.com/fairtrade.html

※2:「トラスト」
 ツアーで紹介されたのは、新庄の農家とつながる「大豆・水田トラスト」で、それをASJが小口で参加できるようにしたのが「ぷっちトラスト」です。
→今の環境と農業に危機を感じている消費者と、山形県新庄市の米農家グループ「ネットワーク農緑」が一体となり、新庄の豊かな自然のもと、無農薬・無化学肥料栽培でたんぼを育て、守り、次の世代につなげていく運動です。
 トラストの目的は安全な農作物を手に入れることだけではありません。大豆・水田トラストでは出来た農産物の収穫量に関わらず、一定のお金を農家さんの土地に対して支払うことで、収穫量が不安定になりがちな有機農業を営む農家さんの収入を安定化することにも貢献します。
 このように、消費者が国産の農作物を買い支えると同時に、トラストを通じた生産者と消費者の交流によって、都市と農村の新たな顔の見える関係作りを目指しています。
 http://www.aseed.org/agriculture/trust/picture/trustboshuu.pdf

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