知っておくと便利な広報(新聞)に関する知識

1)記者とのつながりを持っておくことが重要

記者とは「1度会ったらお友達!」のつもりでつきあうことが重要です。

記者の方もわかっている人はそうするはずです。

またさらに、そのつながりを個人的なものにとどめておかず、もらった名刺をファイルに整理するなどして、団体内で人脈情報を共有するように務めることも重要です。そうしないと、団体内で大きな「代替わり」が起きた時などに、人脈がそこでとぎれてしまうことになります。特に代替わりが頻繁に行われる学生のサークルなどでは、注意が必要です。

2)新聞社内の「部」の違いを知っておく

ここでの「部」とは社会部や政治部などの「部」のこと。つまりそれぞれの部はそれぞれ独自の話題を集め、独自の紙面を持っていますから、自分たちが発信したい情報の種類によって、どの部が1番載る確率が高いかが違ってくることになります。

市民活動などをやっている時に一番お世話になると予想される「部」は、社会部生活情報部と呼ばれるところです。

社会部

いわずと知れた、社会一般に起きた事件などの出来事をとりあげる部です。テレビ欄をめくったところの4コマ漫画のある見開きの紙面などがいわゆる社会面です。

生活情報部

読んで字のごとく読者にさまざまな生活に関する情報を提供する部でのことです。例えば単なるイベントのお知らせなどは、ここの部が担当します。

両者の違いは何でしょうか。ここがポイントです。

社会部は出来事として報道するため、普通の記事と同じようにしてとりあげられるので、それなりの社会的影響力を期待でき、読者に関心を呼び起こすこともできますが、世の中にはたくさんの出来事が起きているので、取材されても必ずしも掲載されるとは限りません。先ほど紹介したように、大きな事件などが起こった時とぶつかると、ほとんど紙面がとれなくなるでしょう。

生活情報部は、募集などの「お知らせ」的な要素が強いので、読んでいる人の関心を呼び起こしたりはしませんが、載る確率が高くなります。イベントなどの告知だけならば最適でしょう。また、生活情報部や家庭面でNPOの特集を組んでいることもあります。イベント情報だけではなく、特集記事の中に団体の紹介を書いてもらうことも時期が合えば可能でしょう。

両者とも一長一短なので、単なるイベント参加者を募集したいだけなのか、人々の関心をあおってみたいのか、どちらかをよく判断して、連絡する先を見極めるとよいでしょう。

3)地方版と全国版の話

全国紙と呼ばれる新聞には、全国の話題が載っている全国版と、自分が住んでいる周辺の話題がとりあげられている地方版と、2つの紙面があることは皆さんも知っていますよね。社会への影響力を考えてみれば、全国版に載った方がすばらしいかもしれませんが、載りやすさからいうと、断然地方版の方が載りやすいのです。全国版に載るのは至難の業です。

取材の際、はじめから地方版でとりあげる、と決めてある時もありますが、大体は本社の方で記事内容を判断して地方版の方に回すことが多いようです。

ここで気をつけなければならないのは、ある記事が全国版より先に地方版の方に載ってしまった場合、その記事はよっぽどのことがない限り、もう一度全国版の方でとりあげられはしない、ということです。つまり、まず地方支局の記者に取材してもらって地方版に載ってしまったなら、同じネタを本社の記者に伝えても、全国版でもう一度載る可能性はほとんどあり得ないということです。これを理解していないと、無駄な労力が生まれてしまいます。

4)新聞社について

新聞社によっては、一流紙の意識が高く、同じ時期に自分のところよりも先に他の新聞にとりあげたネタは、なかなかとりあげようとしないそうなのです。つまり、特定の新聞をひいきにしている場合であっても「まだどこにも載っていませんよ、1番に伝えましたから」という言葉を加えれば、載る確率も高くなるでしょう。

5)事前報道と事後報道

市民団体が行う企画などの報道の仕方には2種類あります。

企画が始まる前に報道する「事前報道」と、何かが終わった時に報道する「事後報道」です。基本的には「事前報道」の方が多いそうです。

ポイントは、事前報道なら単発のイベント(例えばコンサートや海岸ごみ拾いなど)でもとりあげ易いらしいのですが、事後報道はそのイベントならイベントの後、何かが生まれて、引き続き社会に影響していく可能性のあるものでないととりあげにくいのだそうです。

例えば、国際会議などで行動計画が採択され、それをもとに新たな組織が活動を開始する場合だとか、ある本が出版されて、それをもとに全国で様々な団体が活動を開始していく、という場合なら、事後報道が可能になります。よって、自分たちが今からやろうとしている企画はどういう性格のものなのか、しっかり判断して広報戦略を練らないと、記者に「もっと早く言ってくれれば・・」なんてことを言われることになってしまうかもしれません。

6)企画内容をしっかり把握

企画内に広報担当を決めパートナーシップで進めていくようにする

当たり前の事ですが、広報する企画の内容をしっかり把握しましょう。実際に取材を受けたり、記者に電話で質問された時にしっかり答えられないと信頼を落としてしまいます。団体の広報担当者が無理に各企画やプロジェクトの広報をやろうとせず、その企画内に広報担当を決めパートナーシップで進めていくようにすればいいでしょう。広報担当者は、記者に提出する資料の全てに目を通し、売り込みたい企画の内容に関する会議や全体の集会には参加し、その企画の「売り」や特に「内容」に関しての専門家になるように務めましょう。他にも、取材して欲しい企画に関わる予算や資金計画スタッフやボランティアの数協賛後援団体や賛同人との関係団体の設立の趣旨経緯などを知っていれば完璧です。もちろんわからないことを尋ねられたら「担当者に確認し折り返しお電話させて頂きます」と伝えうろたえないようにしましょう。

 

以上いくつか豆知識を書きましたが、やはり広報をする時に大切なのは、その企画の自体のおもしろさ、興味深さであるし、それをその企画の「売り」として、いかにうまく且つ簡潔に全面に押し出せるか、に成否がかかっているといっても過言ではないでしょう。