フェア・ファイナンス・セミナー 安心できる「食」について、私たちの「預金」から考える!

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こんにちは!A SEED JAPAN の長島遼大です。

3月25日に、

安心できる「食」について、私たちの「預金」から考える!

と題してセミナーを開催しました!

今回のセミナーは、

「遺伝子組み換え食品は選びたくない!」

「食の問題に対して金融の面からどういったアプローチが出来るの?」

このような思いを持った方々に参加していただきました。

原宿駅から徒歩3分、TURN HARAJUKUで行いました!

とてもおしゃれな会場です!

遺伝子組み換えの危険性や、日本の状況、さらに金融の力で遺伝子組み換え食品をなくす方法など様々なお話を聞くことが出来ました。

そんなセミナーの内容をぎゅっと凝縮してお届けします!

 

第一部では3名のゲストをお呼びしてお話を伺いました。

1人目は國學院大學経済学部教授の古沢広祐氏。

「バイオ経済・生命操作は農業と市民社会に何をもたらすか」と題して、深刻化している食の新たな時代について、また全体的な食をめぐる論点について話していただきました。

「人間自身が自然界の生物、DNAを含めて設計し、作り出していくという時代に入りかけています。」

古沢さんのお話を聞いていて強く感じたことがありました。それは技術革新によって生まれる恩恵とリスクを私たちはしっかりと考えなくてはいけないということです。

恩恵としては医療品・香料・健康分野から食料・農業・育種分野、化学産業やエネルギー・環境分野といったことにまで発展を促すということです。

一方で、自然生態系への人為的な介入によるリスクは計り知れないものがあります。

「自然の健康と人間の健康は実は繋がっている」

「自らはどういったものかという問いかけがないままに、自分の都合のいいように自然を制御し環境を改変することは結果的に自分自身も動かしてしまう」

古沢さんの話は技術革新について考えるうえでヒントとなる言葉がたくさんありました。

より詳しく知りたい方は昭和堂から出版されている「農業と経済2017・3 臨時増刊号」を購入することをおススメします!

 

2人目はオルター・トレード・ジャパンの印鑰 智哉氏。

遺伝子組み換え食品による健康リスク、遺伝子組み換え産業の構造的な問題について話していただきました。

「一人のアメリカ人は一年間で自分の体重を超える遺伝子組み換え食品を食べると言われています。」

衝撃的な話で始まった印鑰さんは、遺伝子組み換えの危険について私たち一人ひとりに訴えるように話をしてくださいました。

「遺伝子組み換えが導入された年から糖尿病、腎臓病、がん、自閉症といった割合が激増していることがデータから見ていきました。

なぜ遺伝子組み換えが危険かというと、その原因のひとつにBt毒素を含んでいるということが挙げられます。Bt毒素は虫が食べると、その虫を殺すことができ、殺虫剤が必要なくなるのです。人体や家畜に影響はないと言われて販売されていたのですが、実は甚大な影響があることが分かりました。」

「農家は遺伝子組み換えの種子とセットで農薬を買うことを決められてしまい、これによってモンサントは莫大なお金を儲けました。」

「抗生物質耐性菌が非常に増えています。2050年にはこの病気により1000万人もの死者が出ると言われています。この抗生物質耐性菌が生まれた原因は、ファクトリーファーミング(工場に詰めこんで家畜を育てる方法)が80年代アメリカで行われるようになり発生し、そして遺伝子組み換えが出てきたことで急激に増えてきたと言われています。」

印鑰さんの話を聞くことで遺伝子組み換えのリスクを改めて実感しました。

また、遺伝子組み換えにより生産性を上げるということも全くの嘘であることが研究によって解明されました。

遺伝子組み換えについて知れば知るほど、大企業が利益のために売り出してきた状況というのが見えてきます。

 

ではどうしたら遺伝子組み換え産業に対抗することが出来るのか。その方法に金融からのアプロ―チがあります。

3人目はA SEED JAPANエコ貯金プロジェクト田川道子氏より、遺伝子組み換え関連企業への投融資実態調査の報告と、私たちにできることを話していただきました。

A SEED JAPANが取り組んでいるFair Finance Guideでは銀行の社会性を格付けすることを行っており、投融資方針を17のテーマで評価しています。

私たちの預金を銀行は企業に融資し、その利息などで私たちにお金が返されるという流れになっており、また会社の株を買ったりすることでもお金の流れができます。

つまり私たちのお金が企業の活動を支えていると言えます。

そこで今回は遺伝子組み換え企業(モンサント・住友化学・デュポン・シンジェンタ・バイエル)に日本の銀行がどれほどお金を融資しているか調査しました。

結果は1,8兆円ものお金が流れていることが分かりました。また、GPIFという私たちの年金を管理している機関から3382億円流れていることもわかりました。

詳細はこちら→ http://fairfinance.jp/bank/casestudies/food2016/

では私たちは何ができるのか。田川さんは二つ方法があると言います。

①遺伝子組み換え企業に融資している銀行から預金を引きあげる

②預金先の銀行に融資先を考えてほしいと伝える

すでに世界では市民の動きによって、銀行が石炭火力を建てようとしている企業への融資を中止するといった動きも出ています。Fair Finance Guideでは皆さんにメッセージを書いてもらい、それを銀行に届けるということもしています。

田川さんの話を聞いて、自分たちのお金が社会に影響を与えることを認識することが重要だということが分かりました。

私たち一人ひとりが関心を持つことで、遺伝子組み換え企業に対抗することができるのです。

 

第二部はパネルディスカッションでした。

第一部で登壇した3名に加え、

フェアトレード・サマサマオイコクレジット・ジャパン事務局長の小吹 岳志氏に参加していただき、

より深い議論をすることができました。

以下、Q&A方式でお送りします。

Q.金融はどれほどの抑止力になるか?

A.(印鑰さん)遺伝子組み換えが利益をもたらさないということが分かってきて、遺伝子組み換え産業は苦境に陥っています。

しかし日本からは遺伝子組み換え企業にお金が流れてしまっている。

日本は抜け穴になってしまうのではないかという恐れがあった中で、Fair Finance Guideによって調査がなされたことはとても大きいと思います。これは日本からの資金を食い止めることに繋がりますし、遺伝子組み換え企業自体も儲からないので、やめようとなるかもしれません。金融の力はとても大きいと言えます。

(古沢さん)先進的な銀行が良い投資先、悪い融資先を判断して、実際に融資することが大切ですし、そのような銀行を選ぶということも大事です。

Q.金融機関に市民が働きかけるとどのようなことが起きるのか、ヨーロッパの例を教えてほしい。

A.(小吹さん)市民は投融資先に関心が高いため、ヨーロッパには、エシカルバンクが発展している。エシカルな投融資基準を設けているので、多くの人は選ぶようになっています。

市民が能動的に動くことで、銀行の執行機関を動かすことが出来ます。

Q.日本ではなぜヨーロッパのような動きが起きないのか

A.(田川さん)金融、お金の流れに関しての教育がなされていないことが原因のひとつであると言えます。投資によって短期に儲けることでなく、五年後、十年後に投資した企業がよりよい社会になるための活動をしているかなどを考えていくことが大切だと思います。そのように考えていくことで、ヨーロッパのような動きも出てくるのではないでしょうか。

休憩時間にはベン&ジェリーズ表参道ヒルズ店のみなさんが差し入れのアイスを提供してくれました!

フェアトレード証明されたナチュラルな原材料が使用されているため、安心でとってもおいしいアイスです!

登壇者のみなさんも

 

<セミナーを振り返って>

安心できる「食」について、私たちの「預金」から考える!というテーマのもと

様々な立場の登壇者をお招きして議論を深めることが出来ました!

私たちが食べているものが、どんな人たちがどのような思いで作っているかなど

普段の生活から考える機会はほとんどありません。

生産者の顔が見えにくく、自分たちで作るといったことがなくなっていった社会で、

利益のためだけに食品を生産し続けている企業が増えてしまっています。

代表例のひとつが遺伝子組み換え食品であり、今回のセミナーを通して改めてその危険性を認識しました。

このような時代だからこそ、

私たちの生活になくてはならない「食」についてゆっくりと考えてみる必要があると強く感じました。

A SEED JAPANでは、私たちが社会を変えるための方法として

預金先を考えるという方法があるということをこれからも伝える活動をしていきます!

登壇者、参加者のみなさん、

当日はご参加いただき誠にありがとうございました!

2017-03-31