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アシードジャパン「環境・社会配慮に関するメガバンクへの10の提言」
(2005年4月13日)

アシードジャパンは、国際業務を行う日本の各都市銀行に対し、以下の提言を行っています。

1. 「環境と持続可能な発展に関する金融機関声明(UNEP-FI)」への署名
国連環境計画(UNEP)の「環境と持続可能な発展に関する金融機関声明(UNEP-FI)」に署名し、環境管理システムを導入すること:

「環境と持続可能な発展に関する金融機関声明」とは、国連環境計画(UNEP)が1992年にスタートさせた銀行、証券、保険など金融機関の環境・社会配慮行動のイニシアティブ。200以上の企業が署名しており、日本では三井住友、東京三菱などが署名している、みずほは検討中とのことであり、早急に署名することが望まれる。法的拘束力はないが、環境・社会配慮行動に関する方針を発表し、定期的に評価を行い、報告することが求められる。

2. 「赤道原則(Equator Principle)」への署名
Equator Principle(赤道原則)に署名し、カテゴリー分類による環境影響評価、環境緩和計画の策定を行うこと:

Equator Principle(赤道原則)とは、民間銀行がダムや発電所、天然資源開発などのプロジェクト融資を行うときの方針を定めたイニシアティブで、2002年にスタート。約30の民間銀行が署名しているが、日本での署名企業はみずほコーポレート銀行のみで、三井住友、東京三菱も署名することが望まれる。法的拘束力はないが、世界銀行の民間投融資部門の基準が参照されており、環境影響の大きいプロジェクトを行う際に環境アセスメントレポートや環境緩和計画の策定・公開が求められている。

3. 融資したエネルギー関連事業の温室効果ガス排出量の公表
エネルギー関連事業のポートフォリオにおける温室効果ガスの排出量の削減目標を掲げ、毎年、排出量を公表すること:

温室効果ガスを2008年から2012年まで先進国全体で1990年比5.2%削減を目指した京都議定書の目標数値を達成するためには、金融機関の取り組みが不可欠である。なお、アメリカの民間銀行「バンクオブアメリカ」はエネルギー関連で融資したプロジェクトすべてが排出する温室効果ガスを測定し、7%削減することを公表している。日本の都市銀行でこのような取り組みを行っている銀行はまだない。

4. 自然エネルギー関連事業への融資目標の設定およびその達成状況の公表
自然エネルギー(太陽光、風力、小規模水力、バイオマス、地熱など)関連事業への融資目標を掲げ、達成状況を毎年公表すること:

温室効果ガスを削減するためには、高効率なエネルギー転換が不可欠で、世界的にも自然エネルギーの供給量は激増している。ちなみにシティバンクは、現段階で融資目標はないものの再生可能エネルギー関連投資のファンドを設けたり、家庭用太陽光パネル、風力発電、燃料電池設置のプログラムを用意している。

5. 違法伐採に関与する事業への融資を行わないこと
原生林の伐採、及びあらゆる違法伐採に関与する事業に融資しないことを表明し、伐採事業及び植林事業に融資する場合、第三者機関によって適切に管理されていると認証を受けた森林事業への融資優遇制度を設けること:

例え植林事業であっても、規模や方法によっては現地の生態系を著しく破壊することになるケースが少なくない。同様の基準はシティバンクやバンクオブアメリカ、ABN AMRO、HSBCなどでも採用されている。

6. 保護地域内における生態系を改変する事業への融資を行わないこと
国際環境条約・国内環境関連法などの保護地域内における、貴重な生態系の重大な改変をもたらす事業に融資しないことを表明すること:

国際環境条約・国内環境関連法などの保護地域として、世界遺産やラムサール条約保護地、国立公園内、環境NGOであるIUCNやWRIなどが定めた保護地域などがあげられる。同様の基準はシティバンクやバンクオブアメリカ、ABN AMRO、HSBCなどでも採用されている。

7. 国際的な労働基準に違反する事業への融資を行わないこと
国際的な労働基準であるILOの基準に違反する事業には融資をしないことを表明すること:

同様の基準はバンクオブアメリカ、ABN AMROでも採用されている。また、銀行自身においてもILOの基準に違反する事業を行わないことが重要である。

8. ネガティブスクリーニングを導入した社会的責任投資ファンドの開発・販売
環境に悪影響を及ぼす事業や、武器製造関連事業などへの投資を組み込まないネガティブスクリーニングを導入した社会的責任投資(SRI)ファンドを開発し、販売すること:

日本で販売されているSRIファンド、エコファンド等は環境によい取り組みを行った企業を評価するポジティブスクリーニングによる選別であり、例えばその企業が、武器製造関連事業など他の事業で環境に大きな負荷をもたらしていたとしても、ファンドに組み込まれてしまう。欧米ではネガティブスクリーニングによるSRIファンドも販売されており、日本でもネガティブスクリーニングのSRIファンドが販売されることが望まれている。また、当然ながら、ポジティブスクリーニングによるSRIファンドの拡大にも務めるべきである。

9. 社会的事業への融資優遇制度の導入
環境、福祉、教育、災害支援などの社会的な事業を行う市民団体、NPOなどへの融資優遇制度を設けること:

日本における社会的事業を行う市民団体、NPOの資金規模は欧米と比べて非常に小さい。その要因としてこれらの団体が金融機関から十分な融資を受けることができる制度がないことが挙げられる。これから日本の市民活動の発展・成熟に向けて、こうした社会的事業への融資を拡大していくことが望まれている。

10. 環境・社会配慮に関する取り組み等の公表
環境・社会配慮に関する取り組みと外部ステイクホルダー(預金者、投資家等)からの意見、及びその意見の意思決定への反映状況を環境報告書等で毎年公表すること:

環境報告書等の発行状況としては、三井住友はウェブサイトのみでの公開、東京三菱は2005年度にCSR報告書を発行予定だが、みずほは特に発行する予定はないとのこと。環境報告書は、ただ発行するだけでは意味がなく、外部とのコミュニケーションによって自らの事業を改善することが重要である。したがって、自らにとって不利益な情報でも公開することが必要である。

【参考資料】

銀行のCSRに関する公開質問状(2004年12月)

銀行のCSRに関する取組み調査(東京三菱、みずほ、三井住友、住友信託銀行)
公開質問状を元に、A SEED JAPANが独自調査をしてまとめたメガバンクの社会的取組み一覧。
 >> 銀行のCSR度調査 (EXCEL 58.3KB)

A SEED JAPANによる金融CSR分類表
内部資料として、金融機関が持つべきと考える法令順守、本業における取組み、本業以外における取組みについて、ステイクホルダー別にまとめたもの。
 >>銀行のCSR一覧表 (EXCEL 31.5KB)

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