trade for sustainabile society
 
     

HOME

キャンペーン概要
WTO氷結キャンペーンって何?

投資協定とは?
投資協定Q&A

資料
WTOとは何だろう?
企業の投資とWTO
生物多様性とWTO
遺伝子組み換え食品とWTO
医薬品とWTO
水の民営化とWTO


メンバー募集

リンク集

プレスリリース

A SEED JAPANのHOME

 
◆WTOとは何だろう?
 

そもそもWTOって何だ?

  世界貿易機関(World Trade Organization:WTO)は、1995年、貿易に関する一般協定(GATT)の流れを引き継いで設立された。関税を限りなくゼロにし、諸々の規制をなくして、企業と その工業製品、あるいは農産物やサービスが地球規模の市場で自由に競争できるようにするということがWTOの基本的な目的である。しかしWTOはその数多くの協定と同時に、組織自体にも大きな問題点を持っている。ここでは、WTOの全般的な問題点を見ていきたいと思う。
   
WTOの原則
 

WTOは以下のことを原則としている。

a. 加盟国は透明性の確保とWTO協定への整合化義務を持つWTO加盟国は各国の現行の法律だけでなく、貿易に影響を与えうると思われる法律、規則、規範などを随時WTOに知らせなければならない。これらの法や規則をWTOに対して明らかにしなかったり、WTO協定に整合化しようとしない加盟国は、WTOの中にある、貿易政策審査検討機構から注意を喚起される。WTOは加盟国の国内法をも変え得るほどの強い力を持っているのである。
b. 最恵国待遇の実施
最恵国待遇とは、どのWTO加盟国に対しても、同じ関税率、同じ国内規制を適用することを義 務づける原則である。
c. 内国民待遇の実施
内国民待遇とは、加盟国は他の加盟国の商品・サービスを自国の生産者や供給者の商品・サービスと同等に扱う事を義務づける原則である。
d. 市場へのアクセス(数量的制限の排除)
輸出入において、関税以外の措置(「数量割り当て」や「最低価格の設定」などの)を原則的に禁止している。
   
WTOの問題点
   
  上記で述べたようなWTOの原則は、特に発展途上国に大きな影響を与えている。
1985年から始まったGATTウルグアイ・ラウンド以来、農産物、知的所有権、サービス貿易など
様々な分野で自由化交渉が促進されてきた。しかし、以上のようなWTOの原則により、途上国では、弱体な国内産業を保護するための対外規制導入が難しくなったり、公益に関する国内法が次々と退けられるなどの弊害が起こっている。その結果、南北格差がますます拡がることに
なった。
   
WTOの問題点-意思決定の問題
   また、WTOの政策決定過程にも問題がある。WTOの最高意志決定機関である閣僚会議は2年に1回開かれ、コンセンサス方式が採られている。コンセンサス方式とはすべての加盟国の賛同が得られなければ、決定がなされない方式のこと。
 これは一見民主的のように思われるが、実際には閣僚会議の事前に四極代表(米、EU、日本、カナダ)と他の先進国、一部の途上国が参加して、「グリーンルーム方式」という秘密会合が 行われ、そこで練られたものが本会議に出されるのである。この秘密会議は先進国中心であり、後発途上国はほとんど招かれていない。その閉鎖性と非民主性がNGOや途上国から批判されつづけてきた。
   
WTOの問題点ー紛争処理解決機関について
 

 さらにWTOの問題点を挙げる上で忘れてはいけないものに、紛争解決機関(DSB)の問題がある。例えば、あるWTO加盟国Aが他の加盟国Bの貿易政策により経済的損失を受けた場合、AはBの政府との協議を要求でき、DSBがそれを組織する。60日以内に納得のいく決定が得られない場合、A国はパネル(紛争解決小委員会)の設置あるいは仲裁法廷の開催をDSBに求める。だがこのパネル法廷には、以下のような問題点がある。

a. 「パネル法廷」は3人の貿易専門家で構成されるが、その専門家は選挙で選出された人々ではなく、当該国の政府が指名した人々である。
b パネルは非公開で行われ、紛争と関わりのない第三者的組織や個人の自発的な証言は極端に制限される。
c. WTO協定のみが法的根拠となり、WTO以外の国際法(特に環境・社会関連)が無視されている。

 aについては、途上国は適当な専門家をもっていないために、紛争解決手続きを踏むとすれば多額の費用をかけて外国の専門家を雇うことになり、途上国に不利なものになっている。
 また、cについても、過去の判決例をみると、安全性への懸念からホルモン投与された牛肉の輸入を拒否したEUに高額の報復関税をかけられたケースや、ウミガメのケース(絶滅の危機に頻しているウミガメを殺してしまう漁法で採ったエビの輸入規制に対し、ウミガメ保護の法律がWTO協定に違反するという判決を下した)がある。このように強制力を持ったDSBが、「自由貿易の推進」という点に偏りすぎ、環境・社会的に悪影響を及ぼすような裁定が行われることもある。

   
じゃあ、どうすればよいのか?
   以上で述べたようにWTOは様々な問題を抱えている。そこで考えられることは、権力が集中しているWTOの力をできるだけ削ぎ、南北格差が是正され、公平な貿易が行われるよう、多極化した経済構造を作りあげることだろう。例えば1964年に途上国の要求により、貧困根絶を目 的として設立されたUNCTAD(国連貿易開発会議)や、東南アジアの経済発展、社会の発展などを目的として1967年に設立されたASEAN(東南アジア諸国連合)、アフリカの経済成長を目指すAU(アフリカ連合)などの例がある。
   
   
【参考資料】
「WTO徹底批判!」 スーザン・ジョージ著、作品社
オルタ増刊号「自由貿易はなぜ間違っているか」
 

Copyright © 2003 A SEED JAPAN. All Rights Reserved.