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身近な食の問題点編 「世界の飢餓と自由貿易と日本」




<世界を結ぶ自由貿易体制>

現在の世界は、国と国が互いに貿易の網の目でつながれています。2005年現在、世界には約190カ国の国がありますが、その内の146カ国(2003年時点)がWTO(世界貿易機関)という貿易に関する国際機関に加盟しています。WTOでは世界の貿易のルールが決定されます。WTOのルールを、簡単に言うと、「世界中で、どんな産品でも、自由に貿易できるようにしよう。」というルールです。自由貿易の網の目を、世界中に張り巡らせることを目的としています。そして加盟国はこのWTOで決定されたルールの上でお互いに関係を作っていきます。

<WTO体制における農産物貿易の構図>

先進輸出国
アメリカ、EU、カナダ、
ニュージーランド、
オーストラリア、etc

発展途上国 

約100カ国 (G20を含む。)
G20:先進諸国グループに対抗して途上国の間で形成されたグループ
先進輸入国
日本、韓国、スイス、
ノルウェー、ブルガリア、台湾etc

G20
中国、インド、ブラジル、
アルゼンチン、エジプト、
チリ、フィリピン、メキシコetc

このようにWTO体制化での農産物貿易は、非常に大雑把な分け方をするならば、

・先進国の中でも安い作物を大規模に作れる先進輸出国
・先進国の中でも農作物に国際競争力をもたない先進輸入国
・途上国

という風に3グループに分けられます。 各国はそれぞれ、自由貿易体制の中で、

先進輸出国
「工業同様、国際競争力のある商品を国際市場に送り込む。」

発展途上国 

「農作物を国際市場で売り、外貨を稼ぎ、自国を経済的に豊かにしようとする。」

先進輸入国
「海外の安い農作物を買い、自分の国で農作物を作らなくなる。」

と主張します。そして実は、このWTO体制下の自由貿易の仕組みが、発展途上国において飢餓を生み、先進輸入国に属する日本が、その飢餓に対して加害者になってしまっているという状況を生み出しているのです。 

 

<途上国の飢餓>

よく聞かれる話ですが、発展途上国では、漁民の大切なマングローブの海岸を、えびの養殖場にしたり、農民の自給用の畑や貴重な熱帯雨林をつぶして輸出用のバナナやトマトの農場にしたり、家畜の牧草地にしてきました。
これは発展途上国の政府が国を豊かにするために、又は借金を返済するために輸出作物によって外貨を稼ごうとした結果です。その結果、長い年月 農民や漁民が大切にしてきた森や畑や海や川は、その人達の暮らしを持続可能に営んでいくためではなく、その国の経済を豊かにするために使われるようになります。ここでぜひみなさんに覚えていただきたい語句があります。それは「換金作物」と「モノカルチャー化」という言葉です。

・「換金作物」:外貨を稼ぐために栽培される輸出用の作物。
・「モノカルチャー化」:その国の農産物生産が、輸出用の主要作物のみに偏っている現象

(ex ガーナ:カカオ タンザニア:サイザル麻 セネガル:ピーナッツ)


この二つは世界で起きている飢餓の原因を知る上でとても重要です。なぜなら途上国では、

1、国内で換金作物の栽培を優先
2、人々の生活のための自給用作物が不足
3、換金作物輸出で、 た収入で食糧を輸入
4、国内の人々は、輸入作物を現金で購入。
5、貧しい農民は、作物が高くて買えない。
6、その結果 途上国で飢餓や貧困が起こる。


という事が起きているからです。この事態は、たいていの途上国に共通してみられることです。
( ex. セネガルでは、換金作物であるピーナッツの輸出で得た収入の一部でタイやカンボジアから主 食の米を大量に輸入しなければなりません。)

 

<お金がなければ食べ物を手に入れられない世界>

今、世界はWTO体制の自由貿易の下で、「お金を持たない人は食べ物を得る事ができない世界」になろうとしています。豊かな国、人のみが食べ物を得る事ができます。日本はお金のある国です。世界中から大量の農作物を買っています。しかし一方で、作物を買えない国が存在します。

(ex 1993年 日本で米不足が起きた時、日本は米を緊急に大量輸入しました。その結果、国際市場のコメ価格は暴騰し、アフリカ西部のセネガルでは、米を買うことができず、米不足に陥りました。)

日本は、農作物を自分達で作らず、お金にものをいわせ海外から輸入します。そしてその輸入農作物の多くは、コンビ二・ファーストフード店、牛丼チェーン店、居酒屋などの外食産業に使用され、調味料やお菓子や冷凍食品とし
てスーパーの店頭に並べられている可能性が高いのです。そして私達の日々の食事はこれらの食材に依存しているのです。
私達に身近な食が世界のどこかの国での飢餓・貧困・環境破壊につながっている可能性があるのです。日本に住む私達は、このことをどうとらえたらいいのでしょうか。WTO体制の下で推進される自由貿易、途上国で起きる飢餓・貧困 そして日本に住む私達・・。

【参考ページ】
Organic Style
農業情報研究所 
FOOD FIRST(日本語版) 
北沢洋子〜世界の底流〜 

【参考文献】
・「なぜ世界の半分が飢えるのか。」    スーザン・ジョージ朝日選書 1984年
・「世界の半分が飢えるのはなぜ?」   ジャン・ジグレール合同出版 2003年
・「お米を考える本」              井上ひさし 光文社文庫1993年

 

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