アースデイ東京でESGウォッチ宣言を呼びかけました

4月19日、「アースデイ東京2025」に出展して、ESGウォッチ宣言を呼びかけました。出展の様子を取材いただきましたので、その様子をご報告します。

(訪日外国人観光客でごった返していた渋谷の街を通り抜け、坂を登り切ったら、代々木公園!)

「アースデイ東京」は1970年に始まったアメリカのアースデイを受けて、1990年から始められた環境イベント。もう、日本でも35年も続いているんですね。

2021年にESGウォッチプロジェクトを立ち上げ、現在「ESG ウォッチ宣言」を展開しているA SEED JAPAN(以降ASJ)もブースを出している、というので訪ねてみることにしました。

4月とは思えないほど暑い!海外からの観光客でいっぱいの渋谷駅から坂道を上って代々木公園に到着!けやき並木は集結した多くの環境団体、環境に関心のある企業群、アーティスト、活動家たちでさらに熱く盛り上がっていました。

さあ、135番ブースはとどこだ?少々迷いながら、到着しました!

(見つけました!135番ブース!)

(カラフルなパネルがお出迎え)

ASJが今、取り組んでいるのは「ESGウォッチ」。ESG日本の市民が払っている年金保険料や生命保険料の運用、近年個人の関心が高まっている投資信託の運用を行っている資産運用会社をウォッチし、より良いお金の流れを生み出していこうという活動です。

私たち一人ひとりが、どのような企業に投資されているのか、運用会社の取り組みが本当に環境・社会に優しいものになっているのか、興味を持って調べ、声をあげていくことも大切です。

ASJでは、昨年始めた「ESGウォッチ宣言」を通して、活動の趣旨に賛同する人を集めています。

ESGとは「Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)」のこと。社会課題の解決や持続可能な社会づくりに向けた事業をしている企業に投資しよう、という動きが世界中で広まっています。その一方で、実態が伴わない名ばかりのESG投資(ESGウオッシュ)の事例も見られます。

ASJのブースでは、独自に行った日本の若者世代の意識調査の結果を示し、日本ではまだまだESG投資そのものについての関心が低い現状が示されました。また、日本の資産運用会社の気候変動対策がまだまだ不十分であること、いくつかの点では欧米の運用会社と比べて遅れている状況も説明されていました。

「投資によって自らの資産を増やす」という考えが若者世代にとって広まる中、その資産が社会に悪い影響を与えているかも、と考えると少し複雑な心境になるのではないでしょうか?

私たちの「豊かな未来」が、地球温暖化等のグローバルな環境・社会問題の危機にさらされてしまうのは困ったことです。ASJのメンバーは来場者一人ひとりに「ESGウォッチ宣言」賛同のお願いを呼びかけていました。

さて、今回ASJのブースで活動しているメンバーの皆さんにお話をお聞きしました。

(Nさん。パネル制作に尽力していました)

まずは、爽やかな笑顔で迎えてくださったNさん。

ASJ歴わずか4ヶ月!フレッシュですー。でも、ブースを訪ねてくださるお客様にしっかり対応できていて、おー、すごい、って感じ。マレーシアの大学院で環境を学ぼうか、と思っているそうで、そんな関心からASJに参加しました。

「まず、関心を向けないと、私たちは『知らない』ということにすら、気づくことができない」と話していました。

今回、展示されているパネルの制作には苦労したみたいですが、立派なパネルに仕上がっていましたよ。

(モトヒロさん。ヨーロッパの地勢や政治状況でエネルギーの方向性が変わっていく、という話に引き込まれました)

次にお話したのは、社会人としてシンクタンクにお勤めのモトヒロさん。学生時代は南アジアの植民地を研究していたということで、特に水に関わる問題からASJに繋がったそうです。世界、特にヨーロッパの石炭火力や再生エネルギーの問題など、興味深いお話は尽きません。「環境問題に関わる議論は感情的になりやすいところがあります。ASJでは、問題をアカデミックにとらえて冷静に分析して提言できるところが良い」と話してくれました。

(応援に駆けつけてくださったOBさんと話すコウダイさん。まるでお坊さん、と思ったらお坊さんでした)

剃髪に作務衣。ファッションかなぁ、と思いつつ冗談半分に「どちらのお山(お寺さんにはこう尋ねる)ですか?」とお尋ねしたら「浄土宗です」と。いやはや失礼いたしました。コウダイさんは修行中の僧侶。でも、元々はお仕事でインドに駐在されて、現地でインド哲学や思想に触れて出家を決意されたとのこと(ご両親は在家だそうです)。その前は中東で戦場カメラマンもやったことがあるという強者です。「僕のテーマは『人間の安全保障』」とおっしゃるコウダイさん。「たまたま見つけた」ということでASJでも活動しています。ご縁、ってやつですね。「人は地球に寄生しているウイルスのような存在です。人に寄生したウイルスはその人が死んでしまったら一緒に死んでしまうように、地球が壊れてしまったら、人も一緒に壊れてしまうんです。今、地球を壊す力は『強毒』状態ですから、少しでも『弱毒化』しないといけない、そう思うのです」。

(アカデミズムの世界で知の変遷も掴みながら、社会への関心を深めてきたコータローさん。ASJの活動についても長く見続けてくれています)

今回お会いした中で最も長く参加しているのがコータローさん。もう16年もASJで活動しています。現在、大学の先生方に研究や教育のための書籍を調達する仕事をされているとのこと。当然、ご自身も大の本好き。最近は哲学や現代思想の書籍に触れたとのこと。たくさん読むより、深く考えていくことが好き、なのだそうです。

「ASJはメンバーの多様さが面白いと思います」とおっしゃるコータローさん。

過去のアースデイではどんなことをしてきたのですか?とお尋ねしました。

「僕が参加する前、2004年には『エコ貯金プロジェクト』をやっていて、金融機関も巻き込んで大きな成果を上げました。僕の方は2008年から2010年にかけて『生物多様性条約』に関わって、条約遵守を訴える活動をしました。2013年には『パワーシフトキャンペーン』もやりましたね」。最近、自分で反省するのは「言葉でたくさん喋れるようになったんですけど、自分の中で実態が伴っていない」ということだそうです。いや、十分頑張っていると思うのですが。志があれば、きっと実態もついてきますよ。

(苦労したパネル展示の前で、カツヒロさん。次の活動の方向性も固まってきた、とのことです)

最後にプロジェクトのリーダー、カツヒロさん。現在、環境団体の職員を勤めているそうです。

アメリカで国際関係や環境を学んだカツヒロさん。帰国して、普通の大学生とは違うパッションで自身の進路を探っていました。コロナ禍で社会が変わっていく中で働き方を模索し、環境ビジネスの会社というより、もっと広く公共的な立場で活躍したい、と進路を選びました。仕事とは別の視点で勉強できたり、ASJのOBOGの皆さんと出会えることに魅力を感じ、この活動を続けています。

「ちょうど今朝、OBや環境NGOの方と戦略会議をやり、これから、どうやってESG投資の問題と市民生活の関わりを伝えていくか、について話し合いました。今、世界最大の機関投資家はGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)なんですね。僕たちの年金保険料を運用して増やす役割を担っています。GPIFは運用の大部分を外部の運用機関に委託しています。つまり、受託する日本の運用会社にとって大きな影響力を持っており、運用業界のESGの取り組みを進めるのに大変重要な役割を負っています。」

私たちが年金積立金の運用を担うGPIFは、その運用を請け負っている運用会社のESGの取り組みについても影響力を持っています。良い循環が生まれるように、ASJのメンバーはますます活動していきます!

今回のアースデイ東京では、来場者の皆さんにもESG投資やESGウォッシュの問題について知っていただくとともに「ESGウォッチ宣言」への賛同を促しました。環境問題とお金の流れ(金融)について考えてもらえるように、Yes Noの選択肢を選んで、問題を知り、自分ができることを考えるチャートを載せたパンフレットを配って、皆さんと語り合っていました。

   

(ESGウォッチ アクションガイド)

今年のアースデイ東京は二日間、盛況のうちに終わりましたが、ASJの活動はさらに続いていきます。皆さん、どうぞ関心を向けてASJを応援してください!

(ESGウォッチ宣言はこちらから)

(Earth Day東京のオフィシャルカメラマンさんが撮影しにきてくださいました。なんとカメラさんもASJのOBなのだそうです)