
署名ページ(Change.org)はこちら
意思決定者(宛先)
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事長・内田 和人氏
呼び掛け団体
特活)国際青年環境NGO A SEED JAPAN
特活)「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
この署名で変えたいこと
誰もが加入する公的年金(国民年金・厚生年金)。将来世代のために、「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)がその一部を管理・運用し、「資産運用会社」が実際の資産運用を担っています。NGOが調査・点数付けを行ったところ、大手運用会社のほとんどで気候変動対策が遅れていることが分かりました。私たちは、私たちの未来や生活を支えるべき年金が、酷暑、自然災害、食糧不足の悪化を引き起こす事業への投資に利用されたくありません!GPIFさん、温暖化を止めるための運用を求めます!
気候変動とお金の流れ
「今年の夏も災害級の暑さ」。いったい何年連続で、この言葉を聞いているのでしょうか?2025年は6月から全国的に真夏日・猛暑日が連続し、8月5日には群馬県伊勢崎市で観測史上国内最高の41.8℃を記録。同じ日に、国内14地点(過去最多)で40℃を超えるなど、日本中が命に関わる暑さに見舞われました。気候変動による「地球灼熱化」は誰もが実感していることでしょう。
気候変動による悪影響を抑えるために、世界中の国が気温上昇を1.5℃~2.0℃の間に抑える行動を進めていますが、目標達成に向けて重要な役割を担うのが金融機関(銀行、資産運用会社、保険会社、年金基金など)です。金融機関は、エネルギー会社や製造業と違い、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを直接多く排出はしません。しかし、資金の提供を通じて、企業や経済全体の脱炭素の取り組みにも影響を与えています。
「どの企業に投融資するか」「投融資先の企業との対話を通じて、どのように脱炭素を促していくか」。
金融機関の行動が、経済・社会の脱炭素の動きを左右すると言えます。
これは、気候変動問題に限りません。
持続可能な開発目標(SDGs)が生まれる10年前の2006年。深刻化する地球規模の環境社会問題を前に、国連の提唱で「責任投資原則(PRI)」(投資家が、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を投資の意思決定プロセスに組み込むことで、持続可能な社会の実現を目指すための原則)が生まれていました。

2015年に日本で最初にPRIに署名したのが、「年金積立金管理運用独立行政法人」(以降、GPIFと記載)です。日本に住む全ての市民が支払う公的年金保険料(厚生年金と国民年金)は、その一部が将来世代の年金のために積み立てられています。
GPIFはその積立金を管理・運用して増やす役割を担っており、200兆円を超える運用資産は世界最大級とされています。額の大きさから、日本のみならず、世界全体の経済・金融市場に与える影響が大きいため「資本市場のクジラ」とか「ユニーバーサル・オーナー」(市場全体に広く分散して、巨額の投資をする投資家)と呼ばれています。また、GPIFは被保険者(つまり私たち市民)のために、長期的に安定した運用を行うことが法律で定められています。
そして、「持続的・安定的な経済成長のためには、ESG投資を通じた環境社会面のリスクを低減・解決していくことが必要」、「ESGの負の影響を放置することは、経済の持続性・安定性を毀損する」。
こういった考えが背景で、GPIFはPRIに率先して署名したのです。
あなたの年金が気候変動を悪化させる?
昨年度、A SEED JAPAN ESGウォッチプロジェクトでは、日本の大手資産運用会社16社の気候変動の取り組み状況を調査しました。この調査では、各社の2030年のCO2削減目標、化石燃料関連企業への投資の制限・除外に関する方針などを調べました。
詳細は、ウェブサイトをご覧ください。https://www.aseed.org/esgwatch/?p=1327
なぜ、資産運用会社を調べたのか? それは、GPIFが保有する積立金は、実際の投資判断のほぼすべてを外部の資産運用会社に委託しているからです。運用委託先はこちらで確認できます。https://www.gpif.go.jp/gpif/faq/faq-2040.html
GPIFは、企業との「エンゲージメント」(ESGを含む、投資先企業の経営課題の解決に向けた対話のこと)も運用会社に委託しており、運用会社のモニタリングと、より良いエンゲージメントを促進する取り組みも実施しています。

GPIFの運用委託先の気候変動取り組み状況は?
果たして、GPIFが委託する運用会社は、気候変動対策に積極的に取り組んでいるのでしょうか?
これら大手運用会社16社のうち13社が、2050年温室効果ガス排出のネットゼロ(自社の排出+投資先の排出)を宣言していますが、私たちA SEED JAPANの調査では、100点満点中、最も高いアセットマネジメントOneでも47点にとどまり、全16社中10社が30点以下という結果になりました。
資産運用会社16社の気候変動への取り組みランキング(総合スコア、2024年度)

※は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の 運用委託先
例えば、各社の2030年のCO2削減目標について。
世界全体では「2030年に50%削減する」というのが目標ですが、歴史的に多く排出してきた先進国である日本には、「60%以上の削減が必要」とも言われています(国際NGO Climate Action Trackerの提言など)。日本の運用会社にも同様に、50%を超える高い削減目標が求められると言えます。
しかし、2030年の排出削減目標を設定していたのは、16社中10社で、いずれも50%どまりでした。
また、いまや石炭火力発電は「OECD加盟国は2030年まで、それ以外の国は2040年までに全廃」というのが世界のコンセンサスになっています。国連のレポート『インテグリティの重要性:ビジネス、金融機関、自治体、地域によるネットゼロ宣言の在り方』(2022年)でも、金融機関や企業によるネットゼロ宣言は、「新規の石炭採掘・炭鉱開発、油田・ガス田開発を行わない」という方針を伴うべきと提言されています。
つまり、そういった方針を伴わない企業・金融機関ネットゼロ宣言は「グリーンウォッシュ」(環境配慮を謳いながら、実際の行動が伴わないこと)と判断され得ます。
残念ながら、石炭・石油・ガス関連企業への投資について、こうした方針を持っている運用会社はほとんどありませんでした。
GPIFさん!年金(=私たち市民の未来)を預かる機関として、気候変動対策を強化してください!
現状の世界各国の気候変動対策・排出削減のペ-スでは、21世紀末の気温上昇は3℃にも4℃にもなると言われています。今の若い人たちや子供世代が老後を迎えるとき、夏の酷暑や大雨、洪水、土砂災害、食料不足・価格の高騰が常態化し、生存が脅かされるような世界で生きなければならないかもしれません。
気候変動は、これから長い人生を生きる若い世代が、安心して暮らせる社会を守るための最重要課題です。
GPIFは、市場での影響力が大変大きく、日本の責任投資・ESG投資を引っ張る存在でもあります。GPIFが気候変動対策に積極的な資産運用会社を選んでいくことが、社会全体の脱炭素と運用会社の方針強化にもつながります。
GPIFに求めること:
これから長い人生を生きる私たち若者世代は、気候変動が悪化する方向に、年金を投資されたくありません。私たちは、GPIFに対して、年金の運用で気候危機を悪化させないために、
- 脱炭素・温室効果ガスの削減に真剣に取り組む資産運用会社を選択すること
- 運用会社を選ぶ基準や、運用会社の方針強化に向けたGPIFの取り組みを、市民に分かりやすく公表すること
を求めます。
気候の危機は、「年金」という制度を通してこの国で生活する全ての市民に関わっています。GPIFと運用会社の行動を変えるために、皆さんぜひ署名にご参加ください。
【本署名に関するお問い合わせはこちら】
国際青年環境NGO A SEED JAPAN 事務局 info@aseed.org